月別アーカイブ: 2013年6月

コットンスーツでセットアップする

セットアップスーツというのは、ジャケットパンツのサイズを組み合わせて購入することができるスーツのことで、日本語直訳で「組み立てスーツ」と言われるもの。
セットアップ・ジャケットとセットアップ・パンツのサイズや色柄が違うものを選べるので、コーディネートの巾が広がります。特に、サイズ面では、上下スーツとも同じサイズで組み合わされているレディーメイドのスーツに対して、別サイズのものを選べるため、簡単に言ってしまえばジャケットは大きいサイズ、パンツはウエストも細くモモ巾も細いサイズなど、オーダースーツにも似た寸法調整というものがやりやすくなります。
世の中にはセットアップ好きなファッション通も多く、色柄を替えて購入するセットアップスーツはいわゆる今時のジャケパンスタイルにも通じるものなのですが、夏のカジュアル定番・コットンで仕立てるジャケットパンツの着こなしは、まさしくそのセットアップが基本です。。
おしゃれな小物使いでコットンスーツをドレスアップしたり、コットンアイテムに相性の良いニットタイなどで、Vゾーンを爽やかな春夏シーズンぴったりにタイドアップするなど、腕の見せ所です^^

オーダースーツ Pitty Savile Row

コットンジャケットにつけるカラークロス

コットンジャケットを含め、テーラードで仕立てられるスーツ、ジャケットコートなどには標準ではカラークロス(衿クロス)というものが、上衿の裏側に付けられます。このカラークロスは、衿腰をなじませるために衿裏に用いられ、フラノなどの素材でできたスーツの付属。
多くのデザイン的なオプションを用意させていただくことができるコットンのオーダースーツでも、このカラークロスをご指定いただくことは少なく、一般にはおまかせいただく釦やステッチ色、裏地色などと同様、スーツ表生地に合わせた色のものが縫製職人によって選ばれて付けられます。。カラークロスは衿腰をなじませるために付けられるという本来の目的と、通常見える部分ではないという理由から、その色種類は少なく、どの縫製工場でもスーツ基本色となるブルー系、グレー系、茶系、黒程度。
このカラークロスに色柄等選びたい場合には、取り寄せのほか一部縫製でのみ数種類のベロア調の色数、無地・格子などの中から選べるオプションがあるのでおススメです。
コットンジャケットのようなすっきりとしたソリッドな生地には、衿裏のアクセントが引き立ちます。
また、スーツをご注文いただく方の中には、スーツ表生地で作られる上衿と同じ生地を裏衿にも使用する「衿裏共生地」というご指定をいただく方もいらっしゃいます。これは秋冬の衿を立てて着たいハリスツイードドネガルツイードなど厚地な半コート的ジャケットなどのアイテムに多いもの。

オーダースーツ Pitty Savile Row

コットンパンツのシルエット

オーダースーツ店としても好ましい、現在パンツのシルエット傾向は、細身でしかもその細身シルエットのために、股上が浅く、股下も短く、結果パンツ総丈も短いというもの。生地問屋さんを含め生地を扱うメーカーさんなどもさぞかし今どきの流行に苦々しい思いをしているのではないかと思ってしまいます。。
既製スーツがそのトレンドを握っているため、シェアなどほんの微々たるものに過ぎないオーダースーツ店の店長はその流行に沿ったシルエットで、お客様の体型により合ったモデルを仕立てるのが仕事です。。
コットンパンツもその細身なトレンドを反映しており、メンズのコットンパンツでは、股上の浅いローライズに加え、ノータックアイビーパンツにあるパイプドステムストーブパイプストレートレッグ・スラックスのパンツシルエット。
レディースのコットンパンツは、種類も多いので一様にはいえませんが、コットンでオーダーパンツのご注文をいただくことが多いのは、やはりヒップが小さく見えるローライズ、ヒザから裾にかけてゆるやかに広がるジェントリーフレヤードというシルエットが多いように思います。。
夏は肌に接する部分も少なく、風通りも良くするために巾広なバギーパンツセミバギーパンツオックスフォード・バッグスフルパンツなど呼び方はいろいろありますが、バッグスの名前の通り袋のようにゆったりしたパンツシルエットというものも・・。しかし、パンツのお仕立て代としては、タイトパンツもバギーパンツも基本的には現在同価格なため、あまり多くご依頼いただくとその対応に若干の工夫が必要かも知れません^^

オーダースーツ Pitty Savile Row

コットン製品のシワ対策におススメなストレッチコットン

衣服にとってシワの出やすい素材、出にくい素材というのはとても気なるところで、ビジネススーツなどに用いられるウールのオーダー服地などの場合には、サンプルなどを親指と人差し指などでひとつまみし、その後に残るシワ、短時間での回復力などを見たりすることがよくあります。
よくいわれることが、英国服地はシワになりづらいが重く仕立て上がりもかっちりカタメな感じ。イタリア服地は比較的薄地で軽く着心地は良いが、シワにはなりやすい。
特に服地が全般に薄くなる春夏シーズンには、暑さから湿度が高く汗もかくため、スーツ地がよれよれの湿り感があり、シワが目立つ・・。どうせシワになるのなら、春夏スーツは高いものでなくても・・。
コットンやリネンなど天然素材には、もともと伸縮性が少ないため、このシワについては厳しいご意見も多いところなのですが、その夏の着心地の快適さ、風合いから人気も高くまたどうしても頼りたくなってしまう服地のひとつ。。
コットンでもウールでも同じなのですが、シワをできるだけ軽減したい場合、一般的英国服地の特徴とされる目付け(生地の1平方m当たりの重さ)の重い、強い打ち込みのものを選ぶということになるのですが、その他に近年タイトスーツを代表として、クラシコスーツブリティッシュスーツすべてのスーツシルエットのパターンに傾向のあるゆとり量の少ない細身なシルエット。よりシワが出やすいタイト傾向なコットンスーツコットンパンツには、ポリウレタンやスパンデックスを混紡したストレッチコットンというのがおススメ。イタリアブランドではラルスミアーニ、日本製の有名メーカーも良いものがあります。

オーダースーツ Pitty Savile Row

コットンデニムとダンガリー

コットンデニムダンガリーとどのような違いがあるのだろうということで、少し調べてみました。ダンガリーというと世代的なところもあると思うのですが、ブルージーンズに合わせて着るシャツ生地とイメージが強く、中学生のカジュアルアイテムには必須のワードローブで、細巾の編み込みメッシュの縄ベルトのようなものを腰に巻いている人が多かったような気がします。ダンガリーは素材(服地)のことで、ダンガリーズがシャツなどのアイテムを意味するようです。
コットンデニムはというと、もう少し上級で、色はコットンパンツの定番色ベージュ以外にもコットンの染色性の良い所を活かし、黒や赤、オレンジ、水色などカラードコットンを用いて作ってあるジーンズに代わるボトムス。インナーとしての用途は少なく、羽織るジャケットや、やはりコットンデニムパンツが主用途です。
正確には、ダンガリーはデニムを薄地にしたもので、織りはダンガリーもデニムも同じく綾織り(ツイル)ですが、径糸と緯糸に用いる晒し糸と染め糸がそれぞれ逆に使っているところに大きな違いがあります。
ダンガリーはコットンデニムより薄地なものなので、インナーとしてよく着ていたシャツ生地だったというのはうなずけるところ。コットンデニムはコットンで仕立てるパンツ(オーダーパンツ)の素材としても定番は「ベージュ」「白」「黒」「オリーブグリーン」「ネイビー」、更に多くの色種類もあります。
オーダースーツ Pitty Savile Row