太陽のにおいのするリネン、メルソレア

今年はエルニーニョ現象の影響ということで、5年ぶりの冷夏予想が出てますね。オーダースーツ店的には、とても朗報で、こういったお話が5月6月に出てくると、やはりスラックスだけで生活するよりは、一枚なにか羽織るものが必要ということにお客様の考えは向くのではないかと期待してしまいます。
英国の老舗服地マーチャント、ハリソンズ オブ エジンバラのリネン服地、メルソレアは、「メル=ビーチ」「ソル=太陽」「エア=空気」という夏らしい用語を由来とする造語なのですが、これからの日本の夏シーズンにもぴったりな、太陽のにおいのするリネン服地。
いわゆる高級リネンの代名詞ともされるアイリッシュリネンのため、目付けは比較的重めでしっかりめ。リネンは間違いなく夏イメージの服地ですが、これだけしっかりとした生地なら、1年の半分程度は着用できそうです。
無地系を中心に、あとはヘリンボーン柄でしょうか。無地も色柄も、天然素材リネン独特の風合いを楽しめます。アンジェリコリネンなどイタリア製リネンには服地ブランドのテイストや、イタリア服地そのものがもつ発色の良さや、薄手生地という特徴があり、ジャケット、スーツを仕立てる際にリネン生地を選ぶ際のひとつの目安。クールビズの傾向もあり、リネンも薄いばかりというよりは、メルソレアなどアイリッシュリネン系のしっかりめの服地のほうが、近頃向きのような気もします。

オーダースーツ Pitty Savile Row
http://www.order-suits.com/

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ネイビージャケットをリネンで

ブレザーというだけで、アイビー的で、とてもプレッピーな雰囲気を感じてしまうことができてしまいますが、その色がネイビーとなると、その様子は更に高まります。
その昔、店頭で仕事用にも着ることができ、ロッカーに吊るしておけば、いろいろなシーンに対応できるアイテムとして、おススメすることが多かったネイビージャケット。現在では、会社のドレスコードなどの変化とともに、簡単に紺ブレ一枚では厳しくなっているのが現状だと思いますが、それでも、夏の暑さを見た目でも涼しげに見せてくれる、ネイビーのジャケットに白色のコットンパンツや、ブルー×白の組合せなどのコードレーンパンツなど、往年のコーディネートは今でも根強い人気。
シーズンによって素材を使い分けるとなると、春夏シーズンならコットンやリネン、特に盛夏用にはリネンジャケットを忘れてはいけません。夏にジャケットなどとお考えの方もいるかと思うのですが、物入れやファッションアイテム、コーディネートのひとつとしてシーズンを問わず、ジャケットを着る私としては、その暑さが気にならないどころか、リネンという優れた吸湿効果をもつ素材のおかげで、日差しの強いときには、直射日光を避ける日除けにもなり、衣服内の温度と外気を調節してくれ、おしゃれ気分も満足させてくれる。なにより、夏にきっちりとした清潔感を表現できるという、ネイビージャケット。このアイテムを夏に実現させてくれるリネン・麻という天然素材に感謝しなくては。

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重い目付けのアイリッシュリネン

目付けと言われる生地の1メートル当たりや、1平方メートル当たりの重さを表す単位はスーツやジャケットを仕立てる際の目安として欠かすことができないものになります。
単純に、この目付けが重いからその生地が厚いのかというと、必ずしもそういう訳ではなく、細糸で目が詰まっていたりすると、薄く見えても思いの外、生地の重さはあったり、厚手かと思っても、織りが粗いために、目付けは軽いということもよくあることです。
日本で手に入るリネン生地の中でやはり好まれるのは、イタリア製のものやアイルランド産のいわゆるアイリッシュリネンと言われるもの。その生産される風土・気候により、またその製織技術の傾向によっても、織り上げられるリネン生地にはその特徴が表れます。
傾向としては、イタリア製は比較的薄く、アイリッシュリネンは、重めの目付けというところでしょうか。
リネンには繊維そのものに、抗菌作用があるため清潔、着心地感も良く、盛夏用のイメージが強いですが、この厚地のリネン生地を用いたオーダーアイテムなら、目付け450グラムもあるものなら、4月に入ればもう着用することができ、暑い時期にはその優れた吸湿性と発汗性を活かした薄手の麻スーツやジャケットなど、1年の半分ほどを、リネン製のアイテムで楽しむことができるというものです。

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リネンスーツ、デビューの1着目にするなら

リネンのスーツやジャケットなどというと、南米の麻薬カルテルのマフィアか、夏のリゾートで避暑する裕福な紳士をイメージしてしまいがちなところがありますが、本来リネンというものは、人の生活にとって、コットンなどと同様とても身近なもの。
いわゆるこういった上質リネンと言われるものは、繊維が長く滑らかで着用感も良いものとなるのですが、中には工事用などにも用いられる麻だってあったりします。
我々庶民が、身に付けるリネンジャケットやスーツは、それほど上質なものを求めることは難しくとも、近頃のクールビズといわれるような傾向から、さて素材を薄手のウールから、天然素材、となれば、まず筆頭に上げられるのがリネンやコットンということになります。それに加えてちょっとおしゃれさんには、これらリネンやコットン、ウール、シルクなどを絶妙な具合で配分して混織し、独特の風合いを楽しんだりするのでしょうが、暑いからリネンという単純発想の自分にとっては、そんな難しいコーディネート術は、今後にまかせることにしましょう。
私がリネンスーツのデビュー1作目として予定しているリネンは、もちろん無地ですが、グレーの上下スーツ。リネンのイメージカラーともいうべき、ベージュや、ビジネスには向いているといわれる、ネイビーや黒から、グレーのリネンって珍しいのでは・・という、個人の少ない知識から選んでみました。

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ミニチェックのリネンベスト

ミニチェックのリネンベスト

ミニチェックのリネンベスト


リネンのスーツでスリーピーススーツというオーダーがこの春先に多かったのは、やはりお仕事用スーツで多く使われるウール服地で仕立てる、英国調スーツの影響があるという印象が強いです。実は、春先のみでなく、夏になってもベストはジレパンという形で関心の高さをあらわし、ベストはスーツの下に着用する中衣、スーツのブイゾーンからのぞくだけのレイヤード的差し色アイテムから、充分主役の座をまかされるだけの存在感を示すようになりました。
いわゆるベスト中心のファッション構成というもので、ハリスツイードのような目付けも重い服地で作るツイードベストというのもその代表例ですね。
シャツだけで過ごすなんとなく寂しい感じ、もちろん暑いのはいやですが、それでも多少はファッションアイテムとしての衣服をいろんな意味で活用したいとき、ベストというところに行き当たり、そして夏シーズンには麻で仕立てたベストを忘れるわけにはいきません。去年の春夏シーズンには千鳥格子(ハウンドトゥース)が流行したということで、ベストに限らず、スーツ、スリーピーススーツのオーダーも多くいただいた年でしたが、この春夏シーズンにはミニチェックがトレンド。せっかくリネンで作るのなら、タテ・ヨコとも明るめカラフルな色使いのものが、もう少し暑くなると欲しくなるジレパン用アイテムとしておススメです。
お隣の黒のリネンベストも、素材がリネンというだけで充分な存在感を発揮してくれそうですね。。

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リネンのほうがコットンよりも高い?

コットンは、人が身につける衣類用素材の中でもっとも多く使われている天然素材。小学生のブリーフや半袖肌着にまで使われている、なじみ深いもののため、オーダーでコットンスーツやジャケット、パンツを作るというと、イメージしづらいものがあるかも知れません。コットンは安価で庶民の衣類用の素材。そのコットンも、繊維の長いものは光沢があり肌触りもなめらか。高級コットンの代名詞的な、シーアイランドコットン(海島綿)やエジプシャンコットンなどは、オーダーなどで仕立てたら10万15万は、スーツお仕立て上がり価格とされていても珍しくありません。
リネンは、リネン100%・・というだけで、もう高級服地の仲間入りをしたような気がしてしまいます。やはり、麻・リネンというと、着用時期が盛夏に限られてしまうため、ぜいたく品と考えられているのかも知れませんが、クールビズをはじめ、スーツもカジュアル化がすすんでいる現在では、春夏シーズンを迎えると同時に、リネンへの関心度は高まっており、価格も5万円を切る程度でスーツとしてのお仕立て上がり価格、麻ジャケットなら4万円以下でのお仕立てが可です。近頃ではリネンも色数がとても豊富になり、オレンジやライトブルー、パープル、織り柄も千鳥など、薄手生地が得意なイタリア製リネンは、とにかく軽く、日本の気候には最適。リネンでも春先の早い時期から着たい場合には、ホーランド&シェリーや、アイリッシュリネンなど英国製リネンが目付けも重く、しっかりとした仕立て上がりのリネンスーツやジャケットが仕上がります。

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夏を前にリネンジャケットの裏仕立てを考える

まだ、2月の肌寒い季節からリネンジャケットの心配など笑われてしまいそうですが、今どきの2月はクールビズというオーダースーツ店からはあまりうれしくないものの影響から、オーダースーツ事情は一変。その昔衣類関係の2、8。つまり、「ニッパチ」という閑散期は、関係なくなってしまいました。2月にはその後着用する春夏スーツや、秋冬スーツのセール価格のものを、そのまま引っ張って5月6月まで着用するという着方が一般的になっているため、なかなかオーダースーツ的にも需要がある時期なんです。
そのため、本来は盛夏用、真夏用の服地といったイメージのあるリネンジャケットやスーツのスタートも早く、どうせなら今年の夏はリネンでオーダーとお考えの方からのお問い合わせも、もう2月といわず、年を越したあたりから増え始めてきました。
オーダーで仕立てるリネンジャケットやスーツには、できるだけ涼しくというお考えや、リネンジャケットでもできるだけ長い期間着たいなど、ご着用のご用向きやお考えはさまざま。リネンジャケットだからといえども、秋冬用アイテムに合わせることが多い総裏仕立てという裏仕立てでお仕立ていただくことも。この総裏仕立てが夏用なのに対して、より涼しくというお仕立て方には、半裏仕立てという裏地をより少なく仕立てる方法や、広見返し、大見返しといわれる、胴裏をほとんどつけない裏仕立ての仕方などは、素材そのものが呼吸する吸湿効果、通気性をもつリネンにはおススメできる裏仕立てカスタマイズです。

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安すぎたリネンジャケット

リネン・麻といっても多くの種類があります。衣服用に用いられるものだけでも、一般にリネンと言われる亜麻(リネン)と芋麻(ラミー)。亜麻の繊維には短い・柔らかい・細いという特徴があり、同じ衣類用の麻でも、芋麻(ラミー)には、長い・太い・硬いという性質があります。この芋麻の硬い性質は、天然繊維の中で最も強いものといわれています。
仕上がり感は、これら繊維の性質を反映し、亜麻(リネン)には、ソフトでしなやか、芋麻(ラミー)にはシャリ感がありコシがあり、ジャケットやスーツとした時のその風合いもまた素材から楽しめるのがリネン・オーダージャケットの良いところかも知れません。
リネンというだけで夏限定のぜいたくなイメージがあり、いわゆる衣料品店の店頭などに定価¥3000のリネンジャケット。値段には驚きますが、そのデザインは決して悪いものではなく、ジャケットの腰ポケットに付けられたフタの形も、少し細めの巾とされており、全体にタイトフィットなシルエットも、在庫整理の目玉商品とは思えません。
手にとってみて、少しうなずけたのがそのリネン生地の硬さ・・というところでしょうか。ハリとかコシという種類のものではなく、バリバリ感のあるもの。色も良く、価格も手ごろなこの麻は、おそらく麻縄や工事材料とされることもある、マニラ麻やサイザル麻などを用い、丁寧に作られたものなのでは・・という印象のもの。
中高生の頃に着ていた麻は、こんな感触のものであったことを思い出しました。

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リネンスーツをクリーニングするときの注意点

リネンとクリーニングとなると、思い浮かぶのがリネンサプライ。このリネンサプライを社名に掲げるところも多いので、業種といって良いものだと推測する。
ネットで調べてみると、リネンサプライのリネンは麻に限ったものではなく、業界的にはタオルをはじめシーツやテーブルクロスなど多くの布地を含むものとしているようですが、その布地全般を示したい言葉にリネンをもってきたのは、リネンこそ古来テーブルまわり、キッチンまわりなどに適した生地と考えられていたため。それはやはりリネンのもつ、雑菌の繁殖を防ぐという清潔素材だからだと思われます。
また、リネンサプライのサプライは供給するという意味で、これは中学生ぐらいにならった英単語にあったような気がします。つまりは、シーツやタオルなどの布地をクリーニングして繰り返し使ってもらうために供給してくれるのがリネンサプライ。
夏も終わりの今頃になると、リネンジャケットやリネンパンツのクリーニングを考えなければなりません。数回しか着ていないお気に入りのリネンアイテムも、夏は汗をかきますし、ほっておくとシミになりがち。またばい菌も心配。
特に新調したばかりのリネンには、のりが強くついているので、必ずクリーニングするのがおススメ。ただ、リネンは着用に適した素材であることには間違いないのですが、洗濯、クリーニング時などの摩擦によって、毛羽立ち、白化しやすいもののため、注意が必要。この毛羽立ち感が、シーツや衣類など直接肌に触れるもの場合には、柔らかさになるのですが、アウター的リネンスーツやジャケットには見た目にあまり好ましくありません。

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ピュアリネンと言おうリネン100%

目から鱗が落ちたとはこのことだと思った。さんざん、この春先からいまの夏シーズン真っ盛りまで、麻、つまりリネン生地と毎日顔を合わせていながら、オーダー服地では普通リネンといえば、リネン100%なところ、その言い方。
ピュアリネン・・、なんてすがすがしい響きなんだろうと思いました。来夏シーズンからはこのピュアリネンでいこうよ。
しかも、このピュアリネンは、単にリネン100%のことを表してくれるだけでなく、例えば後にスカイブルーのピュアリネン100%ジャケット。お仕事用クールビズにおススメなネイビーのピュアリネン100%ジャケットなど、そのあとにくるリネン素材としていいイメージでご案内したい商品との結びつきも頗る良い。天然ものはみんなピュアといってしまっても良さそう。
決してブレンド素材がピュアなイメージでないということではなく、コットンの良さを生かすためにリネン+コットンや、ウールのしなやかさを適度に取り入れたリネン+ウールも、若干染色性に劣るリネンをいろんな意味でカバーしてくれる。
「ピュア」といえば昭和の人はきっと、尾崎亜美の「マイピュアレディー」を思い出すだろう。小林麻美が出ていた資生堂のコマーシャルソングですね。懐かしい。

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