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ツイードジャケットに背バンドを付ける

ツイードでジャケットを仕立てる際に、素朴でカントリーらしさの強いツイード素材に合わせたいディテールオプションは数多くありますが、ノーフォークジャケットのように、背にアクションプリーツを付けてみたり、またこれはパンツのデザインになりますが、ニッカボッカにしてみたりなど、大きなデザイン変更ではなく、比較的手軽に、どうしても必要になってしまうオプション料も抑えめに、カントリージャケット仕様に仕立てることができるオプションをいくつかご案内させていただきます。
Pitty Savile Rowでも、人気の高いのが衿タブ。左のカラーにベロのように付けられているタブで、カラーに切替で付けられているタイプのものと、カラーを変形しタブと一体となっているタイプの2種類があります。ガンパッチと言われる肩当ても人気があり、もとは狩猟用ジャケット(ハンティングジャケット、シューティングジャケット)に必要なデ機能的なザインとして銃の台座をこのガンパッチで支えていたのですが、いまでは装飾的なデザインとしてなかなか目立つので効果的。エルボーパッチも、ガンパッチも、ジャケットと同じ共生地で作る場合も多いですが、エクセーヌと言われるピーチスキンのような生地表面を持つ人工皮革で付けると、よりアクセントとしての効果が高いです。
また、背バンドはカントリージャケットのバックスタイルを印象付けるために忘れてはならないデザイン。本格的なものは、ジャケットと同じ生地で作ったベルトで締めることができるようになっているのですが、ベルト状の生地を背のウエスト部分に縫いつけ、脇縫い線に差し込むことで、ハーフベルトとも言われる名残りとなっています。

クレイジーパターンで仕立てるハリスツイードジャケット

クレイジーパターンで思いつくのはやはり、朝のスッキリで同じ服を着ているところを見たことがないほどなテリー伊藤氏。クレイジーパターンというのは、普通のジャケットやスラックスが、同じ生地で衿や腰ポケットのフタ、袖が作られているのに対して、部分的に異なった生地を使って仕立てるという、継ぎ接ぎのようにも見えるジャケットのこと。
クレイジーパターンは、チェスターコートの上衿だけをベルベットで作るなどというような控えめなものではなく、場合によっては、懐かしいマジンガーZに出ていた阿修羅男爵のように、左右の見ごろや袖を別の生地で作ったりというような、はっきりした柄の違いを出すような作り方をしたもの。
しかし、クレイジーパターンといわれるものでも、ハリスツイードのようにヘリンボーンやガンクラブチェックなど古典的に古くからある柄を使い、色使いも素朴で自然の色に溶け込むような色合いのものでは、パーツごとに取り替えて仕立てるクレイジーパターン・ジャケットも、思いのほかしっくりくきます。。
ただ、これをオーダージャケットとして仕立てる場合には、パーツごとに別生地が必要となってしまうために、生地の量が多く必要になってしまい、また縫製にも手がかかることから、変更する部分に必要な生地の量や部位の数にもよりますが、通常ジャケット価格の+2~3割程度の割増が必要になりそうです。。

ハリスツイードでノーフォークジャケット

ノーフォークジャケットは、19世紀後半に男性が狩猟用に使うスポーティーなジャケットとして着用していたもので、原則としてニッカボッカと一緒にあわせられます。
素材は厚手なウールで作られることが多く、狩猟用というアウトドアなシーンで着用されるジャケットのため、丈夫なことが理想的。ハリスツイードのような労働着から普及した暖かで丈夫さが売りな服地は最適な素材といえます。
ノーフォークジャケットの特徴的なところは、背部分から前裾またはポケット程度の位置まで付けられるボックスプリーツ。動きやすくまちのような役目をする機能的なオプションで、現代では、ボーリング用に着用されるブルゾンの背部分に入れられているアクションプリーツのほか、作業着にも動きやすい機能的なという点から取り入れられているものも多いです。
ノーフォークジャケットに合わせられるニッカボッカもゆったりした腰まわりと、ひざ下丈程度の運動しやすい作りとなっています。その仕立てられるデザインは、クラシックを楽しむために、装飾的に付けられる腰位置のベルトや、パンツの裾位置を固定するために使われる尾錠に代表されています。
ノーフォークジャケットの由来は、イギリスの地方の州名からという説と、実在したノーフォーク公爵からとられたもの。

ツイードスラックスには総裏仕立てもあります

毛織物の生地表面が堅めで、ゴワつき感があり丈夫で長持ちというのが、ハリスツイード、アイリッシュツイード、ドネガルツイードなどざっくりツイード服地の特徴。
カシミアのような繊細で細い糸で織られた優しい織り上がりとはまったく異なり、太めで強い糸で織られているツイードは、ジャケットやコートに適した生地といえると思うのですが、その丈夫さからまた暖かさからボトムスとしてのオーダーも多いです。
特にここ数年のツイード人気、やはりツイードランというようなイベントがその効を奏している結果か、もしくは、春夏シーズンにスラックス中心なクールビズのお仕事環境からの反動なのではないかと、オーダースーツ店の店主は考えます。
こういったゴワ付き感が特徴的なツイード服地のジャケットには、より暖かさを得るためにまた、すべりを良くするために総裏仕立てをお選びいただくことも多いのですが、スラックスにも総裏仕立てというものがあることをご存知でない方は多いと思います。
通常、オーダースラックスにはヒザ裏と呼ばれるスラックスの前身部分に、サベリといわれる布地が付けられており、ジーンズや既製のカジュアルパンツなどには少ないものですが、これがあることで、動き・摩擦の激しいひざ部分の動きをサポートし、活動しやすくしてくれるというのが役目です。
このスラックスでご指定いただくことができる総裏仕立ては、動きやすくするとともに、ハリスツイードなどで仕立てるスラックスの場合には、ご着用感を増すこともできるオプション。

ツイードで半コート

ツイードはざっくり感のある服地、その繊維の中に多くの空気を取り込むことで、カシミアほどの暖かさをもち、これからの秋冬シーズンに欠かせない防寒用には最適。
いまどき流行の短い着丈で、しかもタイトなシルエットで作るのもかっこ良さそうですが、寒い時期には腰まわりや、できたら太ももぐらいの位置まで覆ってくれる程度の長さのロングジャケット、半コート的なツイードアイテムがあれば、見た目も着ていても暖か。
コートやジャケットの着丈の長さには、とても多くの名前が付けられており、ハーフ丈にはフィンガーチップレングス、少し長めだとスリークォーターレングス、床裾ぎりぎりまでの長さを持つものには、マキシレングスや、そのままフロアレングスなど。
ハリスツイードをはじめ、ドネガルツイードなどは、けっこう目付けもしっかりしていて生地としては重いほうなので、あまり長めのものよりは、個人的にはせいぜいがハーフ丈、いわゆる半コートといわれるぐらいの長さのものがおススメ。
肩、袖が一体となったラグランや、チェスターコートのようなセットインなど、ご希望のコートイメージでお仕立ていただけます。特に車で移動することが多い方には、このハーフ丈のコートは、車の乗り降りも楽というところからも、人気のアイテム。アンコン仕立てで作るスポルベリーノ仕立てというのも、選択肢のひとつです。