エコロジーなリネン素材

リネンにはエコロジーというイメージが強くあります。天然素材であるということはもちろん、衣服として着用するだけで涼感を得ることができ、夏の厳しい生活環境の中でも清潔さや快適性を保つことができます。
リネンの代表的な特徴とされる優れた吸湿性から、ハンカチーフなどにも用いられるリネン。白い麻のハンカチーフは上品で気品があり、もちろんその水分を吸い取るという本来の機能性も満足させてくれる素材。麻のハンカチーフ・ポケットチーフはリネンスーツやジャケットなどを着用するとともに、エコロジーを原点とする夏のクールビズのひとつの象徴、イメージアイテムとして使えそうです。リネンのネイビージャケット、紺ブレに胸に挿したTVボールドの麻のハンカチーフなど、好印象を強くアピールできてしまう代表のコーディネート。見る人にも涼しげで、しかも着用者にもリネンスーツの快適性は間違いありません。
夏は麻と言われるその吸湿性の高さは、食卓で使われる麻布巾にも代表されます。
また、麻は植物性の天然素材であることから、土に還ることができる生分解性にも優れています。土に埋めてしまえば、土に還ることができるリネンはまさしくエコロジーな素材といえます。景気の上がり調子なこの時期、現在見ることはありませんが、リネンのスーツやジャケットを仕立てる全ての芯地・付属、裏地など全ての素材をリネン若しくはそれと同等の素材で作る夢のような夏の快適アイテムというものも、近く提案してくれるメーカーが出てくるかも知れません。

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アイリッシュリネン

アイルランドで作られた亜麻を原料とした繊維を使って織られた織物を「アイリッシュリネン」といい、その光沢感と手ざわりの柔らかさから、リネンの中でも世界で最高の品質と評価されているもの。
西暦1500年代の宗教革命の頃、ベルギー北部フランダース地方のリネン生産に関わる技術者が、多くアイルランドに移り住んだことからアイリッシュリネンの歴史は始まります。
リネンは通気が良く、湿気を調整してくれる夏の快適素材。また、カビや雑菌の増殖を抑える効果は、昔からリネンがキッチンまわりで用いられていることが、その効果の高さを証明しています。
夏シーズンには、快適なリネンスーツ。オッドパンツとして仕立てるオーダーパンツなら、あまりタイトでなく少しゆったりめに風通しを良くしたリネンパンツ
パンツがダーク調なら、選ぶリネンジャケットの色は、明るめ無地やストライプ柄など、リネン特有の色の風合いも楽しげです。

現在のアイリッシュリネンは、亜麻の生産から始まる製品としてのリネン製造工程のうち、織り上げるという工程のみが行われており、フラックスといわれるリネンの生産段階でいえば草の状態の栽培は、主に農業大国フランスに、その紡績はベルギーで行われています。

アメリカ南北戦争時、自国生産が滞ってしまったコットンの代わりに輸入されたことで、その品質の高さが世界的に認められたアイリッシュリネン。厳密な意味で、当時の100%アイルランド産、アイリッシュリネンとは若干製造の過程が異なってはいますが、現在に引き継がれた伝統と技術は間違いなく世界最高レベルのものとして、英国王室御用達となるスペンスブライソンを筆頭とした、「アイリッシュリネンギルド」のメーカーが高い品質のアイリッシュリネンを世界に送り出しています。

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リネンとのつながり

リネン・麻の歴史は古い。洗濯に強く、洗えば洗うほど柔らかく着心地が良くなるリネンの特徴は、有名なところではイタリア麻服地アンジェリコ、ホーランド&シェリーなどオーダーメイドの服地として用いられるリネンスーツなどに最適の素材とされるほか、多くの生活の場に密着する天然素材です。
亜麻でできた糸のことをライン(Line)といい、Linenを語源にもつ丈夫な麻糸のこと。リネンはラテン語で亜麻を意味する「Linum」を語源としており、麻糸、線のイメージは「Air Line」航空路につながります。
また、古来より洗うほどに柔らかく、雑菌を抑える抗菌効果、カビの繁殖をも阻むリネンは、肌着としても多く用いられ、ランジェリーがフランス語のランジェ(Linge)を語源とするのにも、この肌着の材料がリネンであることによります。正確にはランジェリーは、フランス語でいうリネンの婦人用肌着のこと。
また、麻布に亜麻仁油を主原料とする床材、リノリウム(Linoleum)も、スーツ、ジャケット、リネンパンツなどとその分類がはなれるところですが、リネンを主原料とする共通項でつながりを持ちます。

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汗ばむ夏を清潔に保つリネン・麻

リネンは、リネンスーツなど衣服として用いられるほか、生活のさまざまなシーンに登場する天然素材。シーツ、枕カバー、パジャマなどホームリネンとして使われたり、テーブルクロス、ナプキンなどに代表されるテーブルリネンとしての用途など我々の生活に密着しています。
人がリネン素材を使い始めておよそ1万年、グルジアではおよそ3万年前に使用された麻糸が見つかっているそうです。
リネンはコットンやシルクなど天然素材の中で、もっとも汚れを落としやすく、繰り返しの洗濯に強い耐久性をもつ素材のため、洗えば洗うほど白さが増し、柔らかさも増加します。
リネンスーツなど衣服として用いられる場合にも、この肌さわりが使うごとに良くなることは、より愛着のわく元となることだと思いますが、テーブルリネンなど食生活を営む上では、必要条件です。

このようにリネンが人の生活に多くの快適さをもたらしてくれるのは、その優れた性質によるもの。よく知られた吸湿性と発散性のほか、リネン・麻は、カビが増殖することを防ぐ防カビ性、とくに春夏シーズンなど気温の上昇とともに心配となる雑菌の繁殖を抑えてくれる性質をもつため、リネンジャケットリネンパンツなどの衣服として用いる場合にも、天然のデオドラント効果が期待できます。

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麻・リネンの吸湿性と発散性

麻、リネンは単純に涼しいから夏を快適に過ごすことができる素材と考えてしまいがちなところがありますが、それにはそれだけの理由があります。
まず、この夏に涼しく過ごせるという麻・リネンの大きな特徴となっているものが、その吸湿性と放湿性の高いこと。吸湿性はリネンスーツなどとして着用しているときに、汗や水分をすばやく吸い取り、そしてかつ発散してくれるという性質。この吸湿性・発散性は麻・リネンだけの特徴ではありませんが、同様に夏向き素材とされるコットンやシルクよりも優れているため、リネン・麻素材は、常に肌の表面をさらっと爽やかにしてくれるという清涼感を与えてくれます。
リネンパンツなどとした場合には、とくに肌への密着度が高いためにそのリネン・麻素材の吸湿性・放湿性の恩恵を大きく受けることになります。
リネンは古代エジプトでは、Woven Moonlight(月光で織られた生地)と呼ばれ神聖な神事などにも広く用いられていた素材。
ペクチンが含まれているリネン繊維のために、リネンで作られたリネンジャケットやリネンパンツは、直接肌にふれてもチクチク感がなく、やさしくソフトな肌触り。
また、あまり知られていないことですが、コットンと同じように、中空の繊維構造をもっているために、繊維の中に含まれている空気がほどよく寒暖の調節をしてくれ、冬には暖かく衣服内を保ってくれるという特徴も併せもっています。

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ゆったりめにはきたい麻・リネンパンツ

麻・リネンの素材が暑い夏を快適に過ごすために優れた素材といわれるのは、その通気性と湿気を逃がしてくれる放湿性という繊維の特徴のため。この麻・リネンの夏向きな特徴をより生かすためには、やはりパンツ・スラックスのシルエットを考えたときには、若干のゆるみ量を加えるのが理想的。
現在パンツは、スーツ全体を含めてタイトすぎる傾向があるので、せっかくのリネンパンツも肌にはりついたピタピタパンツではその涼しさも半減してしまいそうです。
市販されているビジネスパンツはやはりタイトとするためにタックのないノータックパンツ。カジュアルにも履くことが多いリネンパンツですが、推奨されるクールビズのお仕事現場では素材がリネン・麻でもテーラードなスラックスなら許されます。
見た目重視ならタイトにはきたいところですが、履き心地重視ならタックをせめて1本入れたワンタックパンツというのも、クールビズの目的にはより合ったシルエットだと思います。
※タックを入れるとそのタック量分パンツのモモ巾(ワタリ巾)は太くする必要があります。
また、パンツのタックはウエストとヒップ差の大きい人が、麻・リネンなどの生地を身体に上手にそわせるために入れるという目的もあるものなので、誰かれ、体型も構わずすべての人がノータックパンツというのも問題ありです。

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麻にはいくつかの種類があり、オーダーで仕立てられるリネンスーツリネンジャケットリネンパンツに用いられるリネンはこの麻の1種類である亜麻(リネン)で作られたもの。麻には亜麻(リネン)のほか、苧麻(ちょま・ラミー)やサイザル麻、黄麻(ジュート)、マニラ麻、ニュージーランド麻など多くの種類があるが、主に衣料用として使われているのは、亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)の2種類のみ。
麻は染色が難しく、合繊などでその風合いなどが再現されるようになってからは、サイザル麻、黄麻、マニラ麻などは、敷物、ロープほか資材用に用いられることが多い。

リネンスーツ、リネンジャケット、リネンパンツなど衣服に最も多く用いられている亜麻(リネン)は、西洋の麻とも言われているもので、その性質は繊維が細く強い、若干黄味がかった薄い茶色。夏用の衣類としての快適さの条件となる吸水性、放湿性、発散性に優れているため、そのソフトで柔らかな風合いは清涼感がある。この亜麻は原料段階のものをフレックス、製品となったものをリネンと呼び区別される。

リネンほどではないが、夏用ジャケットなどに用いられることがある苧麻(ラミー)は、イラクサ科の多年草で、自生もし栽培もされるもので、茎の皮の繊維から麻布が作られる。苧麻で作られた製品名には、越後縮、薩摩上布などが上げられる。

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