目付けで選ぶリネンスーツ

オーダースーツを仕立てる際に服地には「目付け」という目安があります。これは、服地1平方メートル当たりの生地の重さのこと。一般にこの「目付け」が重いと、「生地の打ち込みが強く、目がしっかり詰まっており、重いため良い生地」ということになります。逆に薄く軽く涼しいという基準もあります。
多くのオーダースーツ生地サンプルには、生地ブランド、生地番号、織られている繊維の種類(リネンだとかコットン、ウール等)、その混紡率などが表示されていると同時に、この「目付け」も表示されています。
リネンスーツは、夏を涼しく過ごすことができるよう生地そのものが薄く粗く織られているため、リネンの目付けは1平方メートルあたり220gから270gと軽いものが多いです。ただ、軽さからだけで言えば、リネンは繊維そのものが太いため、Super120~130など、より光沢感を増すため細糸で織られたエルメネジルドゼニアカノニコなど、秋冬服地でも220g程度の目付けの生地はいくらでもあり、決して軽く薄いとはいえません。
「目付け」はあくまで同じ種類の服地の中での比較と考えると良いと思います。
あれだけ厚地で防寒用として評価の高いハリスツイードが「目付け」400g~480g、ドネガルツイードは更に厚く600g程度のものなどもあります。リネンにも、しっかりとした打ち込み、厚地の生地があり、これは別格ですが、ホーランド&シェリーのリネン生地はファッション通、垂涎の逸品です。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: リネンスーツ・ジャケット | 目付けで選ぶリネンスーツ はコメントを受け付けていません

リネンパンツのシルエット

これからの夏の暑くなるシーズンにはコットンパンツとともにその愛用頻度が急激に高まりそうなリネンパンツ。自分としては、生成りに近いライトベージュのリネンパンツ、若しくはオフホワイトというのが惹かれる色具合。
長らくタイト、タイトで細身のパンツが好まれて着用されているため、コットンやビジネススーツなどのボトムスもストレッチ系のものが多くなってきました。しかし、リネンとストレッチ系繊維たとえばポリウレタンなどとの混紡というものは聞いたことがなく、相性が悪いのでしょうか。また、涼しさをより効率よく感じるためには、やはり衣服内のゆとりが大切。たとえば真夏夜のゆかたなど胸元ははだけ、肌の露出は隠すがなんと涼しげな構造をしていることか。また、素材も木綿だったり、凹凸感があったりで、肌はの接地も少ない。
メンズパンツは基本的にはテーパードというワタリ巾は適度に太く、ヒザから裾にかけてゆるやかに細身になっていくというシルエットを描くものなのですが、タイト系スーツの細身パンツでは、いわゆるアイビールックアイビースラックスに代表されるパイプドステムというようなノータック、ヒザ、裾は詰めれるだけ詰めたい。店頭で接客させていただいているときのお問い合わせも、サンプルスーツからもっと詰めてもおかしくならないだろうか・・というご質問が多いです。。ビジネスパンツやストレッチ系のコットンパンツならこの細身のパンツも問題ないとおもうのですが、伸縮度が少なく夏用に涼しくはきたいリネンパンツではどうでしょう。
少しずつではあるのですが、ゆったり系のパンツを見ることが多くなってきたオーダーパンツの分野では、ひそかにマンボズボン、そこまでいかなくともバレルシルエットなペッグトップトラウザースといわれる腰まわりはゆったりヒザ~裾にかけて極端に細くなるパンツシルエットというものが、今後のボトムスを席巻するような気がするオーダースーツ店店長です^^

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: パンツ・スラックス | リネンパンツのシルエット はコメントを受け付けていません

ネイビーのリネンジャケットでクールビズ

オーソドックスなジャケパンスタイルのアイテムとして、紺ブレがあります。紺ブレは紺のブレザー、ネイビーブレザーのことで、その昔ジャケット&スラックスでジャケスラなどといった頃からお育ちの良いトラディショナルスタイルを好む方には、必須のアイテム。ブリティッシュトラディショナルでも、アメリカントラディショナルでも、紺のブレザーを商品群に置かない店舗はありません。
紺ブレは用いられる素材も豊富で、フラノハリスツイードなどを代表とするざっくり感のあるツイードで作られたものもあり、もっとビジネスライクなものなら、ウール地はサージにはじまりサージに終わると言われるほどお仕事用スーツにはポピュラーな梳毛糸(ウーステッド)を綾目に織ったサージを使って作られた紺ブレもあります。
クールビズ傾向のここ数年には、この紺ブレを天然素材のリネンやコットンなどで仕立てるということも多く、特に吸湿性の高いリネンジャケットは、お仕事用向きな濃紺(ネイビー)や黒、グレーという色使いが好まれています。
お仕事用ということで、夏に涼しい快適さを求められるネイビーのリネンジャケットですが、正直なところ、提唱クールビズ以降ドレスコード崩れっぱなしな、いまどきのお仕事現場では、少しだけくだけたディテールデザインを取り入れても良さそうな・・という気がします。お台場仕立て袖本開きは比較的人気もあり知名度もあるオーダースーツならではのディテールオプションなので、ここはより開放的に涼しさを取りれたい、袖を少しフレアというのがおススメです。袖口巾を通常より1.5cm程度広くするセミフレアと、2cm程度とする袖フレア。夏のおシャレ度がアップしたリネンスーツ、ジャケットが仕上がります。
オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: リネンスーツ・ジャケット | ネイビーのリネンジャケットでクールビズ はコメントを受け付けていません

リネンをウールと混紡するメリット

盛夏用の夏服地に涼しいという快適さを求めるならば、素材はリネン・麻ということになり、リネン100%のリネンスーツリネンジャケットリネンパンツは夏をおシャレに過ごすために必須のアイテム。
イタリア製アンジェリコのリネンアイリッシュリネンの代名詞・スペンスブライソン、高級服地を扱うことで有名なホーランド&シェリー社にも、South Pacific Pure Linenというリネン100%のリネン素材があります。一般に盛夏用の夏リネンの目付けといわれる1m当たりの重さは軽く、アンジェリコリネンで270g、スペンスブライソンは巾があるものの220g~300g程度と軽いのに対して、ホーランド&シェリー社は310~420gまでと比較的重めのもの。それでも、吸湿性・通気性の高いリネンのポテンシャルを100%引き出す、100%リネン繊維構成は変わりません。
リネンにウールというメリノ羊毛を混紡することのメリットは、やはりウールのもつしなやかな弾力性をリネンに加えることにより、リネン100%とはまたひと味違った風合いのリネンスーツ、リネンジャケット生地とすることにあります。羊毛繊維にあるクリンプといわれるちぢれが、生地に弾力性を生み、シワになりづらくまた回復しやすいリネンウール服地としてくれます。これらリネンとのブレンド素材には、ウールのほか、吸湿性の高いシルクや、独特の風合いをもつ合繊、強度を増すためのポリエステル混など種類も多いです。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: 麻・リネンのライフスタイル | リネンをウールと混紡するメリット はコメントを受け付けていません

春夏はリネンパンツで行こう

行楽用のカジュアルパンツとしても、クールビズ用のお仕事パンツとしても涼しい快適なスラックスなら、オーダーで仕立てるリネンパンツ、麻パンツがいい。色合いは天然素材らしい生成りな薄いベージュは一本欲しいところ。
特別にリネンパンツと相性が良いというわけではないが、現在既製パンツでも、オーダーパンツでもその大半が前開きはジッパーで作るところを、わざわざクラシックに前立て釦止めとしてみる。釦止めのほうがジッパーに比べ、「通気が良く涼しい」「蒸れない」というのも機能的にはありますが、見た目もいいですね。わざわざ見せるところでないのが残念なこだわりポイント。ジッパーがアメリカで発明というか、作り出される前までは、釦止めがどんな洋服でも標準仕様。考えてみれば、スーツやジャケットのフロントデザインが打ち抜き釦止めというのも、歴史のある紳士の衣服、背広(スーツ)ならではというところかも知れません。
タイトパンツがトレンドな今に、大きな声では言えませんが、本当ならリネンパンツは少しゆったりめに風通し良く着こなしたいところです。タイトな麻パンツというのも、今時なパンツシルエットなのかも知れませんが、リネンパンツの履き心地・快適さは風の通るまたは湿気を逃がす場所があってこそ、より涼しいというものです。
風に揺れるリネンパンツのシルエットは、それだけで涼しげ。汗ばんだ肌にも、ときおり触れる凹凸感のあるリネンの生地表面はさらっとして、べたつきません。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: パンツ・スラックス | 春夏はリネンパンツで行こう はコメントを受け付けていません

リネン・麻の舶来ブランド

リネンや麻にももちろん品質があり、イタリア製やアイルランド製など舶来のものだから高級、品質が高いということには必ずしもなりませんが、日本に輸入されてくる価値があるリネン生地という意味では、優良生地であることが多いです。
ただ、大量に製造されるプレタのリネン服地。それはスーツ、ジャケット、スラックスなどにも共通していえることだと思うのですが、ロットで安い単価で仕入れられ、国内で流通するものである以上、一定品質のものであることは間違いありませんが、やはり見極める目は必要かも知れません。
オーダーで仕立てられるリネンスーツや、リネンジャケットリネンパンツなどに用いられるリネン服地は、リネン繊維の中でも長繊維となるものを、温水でウェットスパンすることで、そのリネン繊維に柔らかさと光沢を加えられるという工程を経たもの。衣服に多く用いられる亜麻(リネン)で作られるとは限りませんが、産業用資材や、インテリア用の麻素材には、太く短い繊維ばかりを集め比較的コストをかけず紡績することができるドライスパンで作られたリネン素材が使われます。
オーダーで仕立てるテーラードの衣服に用いられる、リネン・麻の舶来ブランドとしてまず挙げられるのは、イタリアブランドなら北イタリア・ビエラ地方に本拠をもつ、アンジェリコのリネン、世界でも最高の品質と定評のあるアイリッシュリネンなら、アイリッシュリネンギルドにも名を連ねるスペンス・ブライソンが有名です。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: 麻・リネンのライフスタイル | リネン・麻の舶来ブランド はコメントを受け付けていません

リネン・麻パンツのヒザ裏どうする?

亜麻(リネン)の原産地は小アジアだといわれていますが、現在多く採れる産地は比較的寒い地方が多く、その代表的な地域は、ベルギーやロシア、東ヨーロッパ諸国、フランスでも北部地方など。
一般にリネンと呼ばれるのは、亜麻繊維から作られたリネン糸、リネン製品のこととなり、リネン糸を紡績する前段階、植物としての亜麻を含めその繊維、スライバーなどのことをフラックスといって区別されています。これをアイリッシュリネンなどに置き換えた場合、リネンを製織するアイルランドがリネン生産地、植物としての亜麻を生産したり、リネン糸を紡績するまでのスライバーなどを作る、フランスやベルギーなどはフラックス生産地ということになります。
涼しく快適に夏をすごすことができる夏服地として利用価値の高いリネン素材。このリネン素材でパンツをオーダーする場合の裏仕立てについては、その仕立てるリネンの薄さや色合いによって注意が必要な場合があります。より快適さを求めるために薄いリネン、一般にはパンツに用いることを避ける、シャツ生地などの場合には、シースルー効果などもあるため、スラックスには標準のヒザ裏付きというパンツ裏仕立てのみでは、下着等が透けてしまう心配があります。シャツ生地でなくとも、リネン素材はウール等に比べ糸が太く織りが粗いため、白無地など色の薄いものは、リネンパンツでは心配です。こういった場合、このヒザ裏仕立てを総裏仕立てなどとして、パンツの前身後身とも裏地を付ければ良いとなるのですが、つけてしまえば涼しさ半減・・、など考えどころです。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: パンツ・スラックス | リネン・麻パンツのヒザ裏どうする? はコメントを受け付けていません

エコロジーなリネン素材

リネンにはエコロジーというイメージが強くあります。天然素材であるということはもちろん、衣服として着用するだけで涼感を得ることができ、夏の厳しい生活環境の中でも清潔さや快適性を保つことができます。
リネンの代表的な特徴とされる優れた吸湿性から、ハンカチーフなどにも用いられるリネン。白い麻のハンカチーフは上品で気品があり、もちろんその水分を吸い取るという本来の機能性も満足させてくれる素材。麻のハンカチーフ・ポケットチーフはリネンスーツやジャケットなどを着用するとともに、エコロジーを原点とする夏のクールビズのひとつの象徴、イメージアイテムとして使えそうです。リネンのネイビージャケット、紺ブレに胸に挿したTVボールドの麻のハンカチーフなど、好印象を強くアピールできてしまう代表のコーディネート。見る人にも涼しげで、しかも着用者にもリネンスーツの快適性は間違いありません。
夏は麻と言われるその吸湿性の高さは、食卓で使われる麻布巾にも代表されます。
また、麻は植物性の天然素材であることから、土に還ることができる生分解性にも優れています。土に埋めてしまえば、土に還ることができるリネンはまさしくエコロジーな素材といえます。景気の上がり調子なこの時期、現在見ることはありませんが、リネンのスーツやジャケットを仕立てる全ての芯地・付属、裏地など全ての素材をリネン若しくはそれと同等の素材で作る夢のような夏の快適アイテムというものも、近く提案してくれるメーカーが出てくるかも知れません。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: 麻・リネンのライフスタイル | エコロジーなリネン素材 はコメントを受け付けていません

アイリッシュリネン

アイルランドで作られた亜麻を原料とした繊維を使って織られた織物を「アイリッシュリネン」といい、その光沢感と手ざわりの柔らかさから、リネンの中でも世界で最高の品質と評価されているもの。
西暦1500年代の宗教革命の頃、ベルギー北部フランダース地方のリネン生産に関わる技術者が、多くアイルランドに移り住んだことからアイリッシュリネンの歴史は始まります。
リネンは通気が良く、湿気を調整してくれる夏の快適素材。また、カビや雑菌の増殖を抑える効果は、昔からリネンがキッチンまわりで用いられていることが、その効果の高さを証明しています。
夏シーズンには、快適なリネンスーツ。オッドパンツとして仕立てるオーダーパンツなら、あまりタイトでなく少しゆったりめに風通しを良くしたリネンパンツ
パンツがダーク調なら、選ぶリネンジャケットの色は、明るめ無地やストライプ柄など、リネン特有の色の風合いも楽しげです。

現在のアイリッシュリネンは、亜麻の生産から始まる製品としてのリネン製造工程のうち、織り上げるという工程のみが行われており、フラックスといわれるリネンの生産段階でいえば草の状態の栽培は、主に農業大国フランスに、その紡績はベルギーで行われています。

アメリカ南北戦争時、自国生産が滞ってしまったコットンの代わりに輸入されたことで、その品質の高さが世界的に認められたアイリッシュリネン。厳密な意味で、当時の100%アイルランド産、アイリッシュリネンとは若干製造の過程が異なってはいますが、現在に引き継がれた伝統と技術は間違いなく世界最高レベルのものとして、英国王室御用達となるスペンスブライソンを筆頭とした、「アイリッシュリネンギルド」のメーカーが高い品質のアイリッシュリネンを世界に送り出しています。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: 麻・リネンの種類 | アイリッシュリネン はコメントを受け付けていません

リネンとのつながり

リネン・麻の歴史は古い。洗濯に強く、洗えば洗うほど柔らかく着心地が良くなるリネンの特徴は、有名なところではイタリア麻服地アンジェリコ、ホーランド&シェリーなどオーダーメイドの服地として用いられるリネンスーツなどに最適の素材とされるほか、多くの生活の場に密着する天然素材です。
亜麻でできた糸のことをライン(Line)といい、Linenを語源にもつ丈夫な麻糸のこと。リネンはラテン語で亜麻を意味する「Linum」を語源としており、麻糸、線のイメージは「Air Line」航空路につながります。
また、古来より洗うほどに柔らかく、雑菌を抑える抗菌効果、カビの繁殖をも阻むリネンは、肌着としても多く用いられ、ランジェリーがフランス語のランジェ(Linge)を語源とするのにも、この肌着の材料がリネンであることによります。正確にはランジェリーは、フランス語でいうリネンの婦人用肌着のこと。
また、麻布に亜麻仁油を主原料とする床材、リノリウム(Linoleum)も、スーツ、ジャケット、リネンパンツなどとその分類がはなれるところですが、リネンを主原料とする共通項でつながりを持ちます。

オーダースーツ Pitty Savile Row

カテゴリー: 麻・リネンのライフスタイル | リネンとのつながり はコメントを受け付けていません