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麻に代わって綿

綿素材が主な衣服素材として普及するようになる16世紀頃まで庶民が身に付けていたのは麻素材でした。
古代中世も麻で、絹や屑といった繊維も使われていた。
現在のような優れた紡績技術もなく麻だけで冬を越すとなると、何枚も何枚も重ね着をしなければいけないので大変だったようです。
加工のしやすさと暖かさを兼ね備えた綿は江戸時代に栽培が始まると、急速に民衆の生活に入っていきました。
また藍に良く染まったため綿と共に藍染めも広まっていきました。
日本各地で綿素材の工芸品があり会津木綿や遠州織物なんかがそうで、素晴らしい伝統を受け継いでいます。
オーダースーツの服地としても人気が高くビジネス用ジャケパンやお休みの日まで幅広く活躍します。

日本における綿の歴史

日本に初めて綿が伝来したのは8世紀末頃とされていて、799年に三河国に漂着した崑崙人が伝え、
翌年に紀伊などの国に綿の種子を配って、試しに植えさせた事からだそうです。
とても古い歴史がありますよね。
でもこの時に植えられた綿は定着することなかったみたいです。
国内生産の最も古い史料には、1494年に木綿一反が奉納されていた事が記されているので
15世紀末頃には綿栽培が始まった時期だと考えられている。
ファッションと歴史はとても結び付きがあって、面白いですよね。
その時その時の時代背景が反映されていますし、化学繊維なんてない時代の綿や麻は尚興味が沸きます。