コットンスーツやコットンジャケット、コットンパンツなどに用いられるコットンは綿花の中でも上質のもの。コットンボールの中に詰まっている綿毛・綿繊維の長さには長いものから短いものまでありますが、綿繊維の短いものからはウールなどの短繊維と同じく、太く短い糸しか紡績することができず、下級綿として布団用の綿や脱脂綿として用いられます。超長綿といわれるような繊維からは、絹とほぼ同等といわれるほどの高い品質の高級糸を紡績することができ、その手触りのなめらかさ、強さ、光沢感から高級綿といわれるもので、高い吸湿性があります。
ペルーが原産とされるエジプト綿は、シーアイランドコットン(海島綿)と並ぶ高級綿の1つ。エジプトのナイル川流域で生産された綿花から採取される、30~40ミリ(特に長いものは60ミリにもなる)の長い綿毛から紡績された細番手の糸で織られます。その特徴は、細番手の糸で織られるため薄手で、その生地表面のなめらかさでは、シーアイランドコットンに一歩ゆずると言われていますが、その強度においては世界で一番との定評があるコットン素材。
細番手の高級コットン糸から織られる薄手のエジプト綿コットン地は、夏を快適に過ごすためのカジュアルコットン生地としても丈夫で使いやすく、欠かせない素材です。
月別アーカイブ: 2013年1月
シアサッカー
コットンは春夏のみでなく、秋冬にはその繊維の中空構造から保温性をもつオールシーズンに楽しむことができる素材となりますが、盛夏用、特別夏向きにご着用いただくコットン素材にはシアサッカー(単にサッカー)があります。
シアサッカーの生地の特徴である凹凸は「しじら」と言われるもので、昔は、糸の部分的に異なる張力を利用して作られていたものですが、現在は収縮率の違う糸を使用することで、この「しじら」といわれる「縞状のしぼ」を作りだします。
このシアサッカーの凹凸感が、直接に肌と触れる部分を少なくするためサラっとした触感・清涼感を与えてくれ、また同時にコットンなのにシワに強い、ということも夏向き素材として人気が高い大きな理由のひとつです。オーダーで仕立てたコットンスーツ、コットンジャケット、コットンパンツならクリーニングなしという訳にもいきませんが、カジュアル向きなイージーパンツ、シャツなどなら洗濯がいらず洗いざらしでそのまま着ることができます。
初夏の着こなしに欠かせないシアサッカーで仕立てたジャケットやスーツ。この春夏シーズンに仕立てるなら、ジャケットはアンコン仕立てのジャケットがおススメ。裏地は極力少なく、肩パッドの入らないアンコンジャケット、特にナポリ・クラシコ仕様の雨降り袖仕立てのものなら、トレンド、間違いありません。
コットン
コットンは綿花またはその製品を総称するものと日本語では解される。コットンヤーンは綿糸のことで、これらコットン、コットンヤーンが作り出されるもととなる「綿・木綿」はアオイ科の植物で、ハイビスカス、フヨウ、オクラ、タチアオイなどと同類のものです。
コットン生地を織るためには、まずこの綿花と言われる綿の木の種から採取された種子毛を綿紡績工程をへて、綿糸とすることからはじまる。この採取される種子毛の繊維が長く細ければ、海島綿(シーアイランドコットン)やエジブト綿などが作られ、薄く滑らかで光沢のあるコットン生地となる。
綿糸には、紡績工程の通し方によって、カード糸とコーマ糸にわけられる。コーマ糸はジャケット、パンツなど仕立てる際にもよく用いられるもので、綿紡績工程において綿繊維を梳り、短繊維を十分に取り除いたあと平行に引き揃えられた糸で、一般に40番手以上の細番手の糸はこのコーマ糸とされ、高級コットンに属する。
綿花の原産地はインドとされており、日本に入ってきたのは平安初期に中国から。世界的にはインドからエジプト→ヨーロッパへと広がり、現在では、中国、アメリカ、インドなど。日本でも16世紀半ばごろから栽培されるようになるが、やがて廃れ現在では中国からの輸入に頼っている現状。
春夏に清涼感を得られる、もっとも馴染み深い服地とされるコットンは、吸湿性・速乾性にすぐれているとともに、その繊維の中空素材から熱を逃さない保温性ももつため、肌着などとしても多く用いられている。
カジュアルアイテムとしてのコットンスーツ、コットンジャケットは、ビジネススーツのドレスコードのカジュアル化、クールビズ、スーパークールビズの傾向から、愛用者も多いカジュアルスーツの一素材です。また、ジャケット+パンツのジャケパンスタイルでは、コットンジャケットに対して、色違いのコットンパンツなど、その応用範囲も広いです。