ピックステッチというのは、コットンに限らずオーダースーツを仕立てる際に、お台場仕立てや袖本開きと一緒に人気のディテールオプションになります。。
ミシンステッチも人気がないというわけではないのですが、ミシン目で入れられるステッチのため、高級感やオーダースーツらしさという点で、手縫い感のあるピックステッチには一歩及ばない感じ。また、コットンスーツやジャケットのような、生地表がカタメなコットン素材と、ピックステッチとの相性はとても良く、その相性の良さは、ピックステッチを入れた際に、目立つというところに尽きると思います。。生地が、カタメで丈夫、織りがしっかりしているので、チクチク入れられるピックステッチは仕立て映えがします。
ただ、このピックステッチは種類が少なく、端から数えてコバに入れられるコバステッチと、5ミリのところに入れられる5ミリステッチの2種類のみ。
その反面、ミシンステッチはとても種類が多く、端から数えてコバステッチ、5ミリステッチ、7ミリステッチ、10ミリステッチのほか、2ミリ+8ミリ位置に入れられるダブルステッチや、9ミリ位置+その外側3ミリのところにダブル線で入れられるレールステッチなど、ステッチはフロントステッチとした場合でも、上衿から下衿、胸ポケット、腰ポケット位置に入るので、ミシンステッチの縫い目といえど、カジュアルなコットンアイテムに組み合わせてみたいオプションがいっぱいです。。
ホワイト色とオフホワイト色のコットンスーツで悩む
白色のコットンジャケット、パンツで着るコットンスーツは、街中で着るストリートスーツとして着るにはかなり目立つだろう。スーツで着なくとも、上下別々、セパレートで着用することも考えると、暑い夏シーズンには持っていたいアイテムなのが、白のコットンスーツ。
このホワイトは、コットン同様リネンで仕立てる際にも悩むのですが、まったく漂白したような純白のホワイトか、若干黄味がかったいわゆる生成りのオフホワイト。オフホワイトには、生成りのほか、ボーンカラーやオイスターカラーなど、この色を連想するいくつかの名前が付けられており、それだけ奥が深くファッション性も高いと言えると思います。
その反面、直球で勝負する真っ白なホワイトもやはり捨てがたく・・というところ。
コットンはその生地の性質上、また素材のもつイメージから、必ずしもきっちりオンビジネス前提では着用することは、そのシーンをよく考える必要があり、ネイビーやグレー、黒色コットンならまだしもですが、ホワイト系では。
それなら後悔がないように、真っ白ホワイトへと考えが動き、少し戻って、ジャケットはオフホワイト、パンツはホワイトというところで、まとまりました。なかなか良い選び方だと思うのですが、どうでしょう。ジャケパンのような上下別の購入は、共生地スーツでの購入に比べ若干高めとなってしまうのですが、誘惑に負けました。
コットンジャケット・スラックス・ベストでコーディネートする
ジャケパンやジャケスラといわれるものは、素材はコットンに限ったものではありませんが、それぞれ独立したコットンジャケットにコットンパンツを組み合わせるもの。これがコーディネートということなのですが、クールビズ傾向のお仕事スーツの事情もあって、使われる素材や色柄は、昔にくらべずいぶん使える範囲が広くなってきました。
コットンなどは、丈夫で春夏シーズンを中心に、暖冬傾向の秋冬シーズンにまでかけて長くご着用いただくことができる素材のため、特にネイビー、グレー、定番色となるベージュなどは、ビジネス用も含めご利用範囲の広いアイテム。
きっちり過ごしたい平日昼間のお仕事には、濃い目のネイビーやグレーの生地、場合によってはベストまで共生地で仕立てたスリーピーススーツとして。また、ネイビーコットン、グレーコットンの三つ揃えスーツが1着ずつあれば、それぞれのアイテムの組合せを替えたコーディネートで、着こなしの巾が広がります。
1点のみチェックやヘリンボーンなど、特徴的な色柄のベストやスラックスを加えることで、そのコーディネートのパターンはさらに多くのものに。現在6月に入り梅雨シーズンとなっているのですが、こんな時期にはジャケットをはずして、ベスト+パンツという組み合わせも、タテの線がすっきり、スマートに見えておススメです。。
コットンジャケットを総裏仕立てで
総裏仕立てと言われてすぐピンとくる人は、オーダースーツとは限りませんが、かなりスーツデザインについて関心があり、詳しい人だと思います。そういう方なら尚更、コットンジャケットに総裏仕立てはあわせることが少ないのでは・・、と疑問に思うかも知れません。。
コットンという素材は、スラックス、ジャケットとして着用する場合、今までは夏のイメージをもたれることが多く、その性質としてまず第一に上げられる吸湿性と発汗性の良さ。この2点の特徴的な性質は間違いがなく、コットンのものなのですが、その保温効果というのも見逃せず、秋冬シーズンには暖かく、生地表面により多くの空気を取り込むために、毛羽立たせたオールシーズン向きのコットンや、ウィンターコットンと分類される服地も近頃では目だってきたように思います。
こういったコットン繊維の熱伝導率が遅いための保温効果から、また秋冬シーズンの温暖化傾向から、ジャケット着用時、その衣服内は比較的すべりが悪くなりがちな、摩擦係数の多いコットンにも、裏仕立てを総裏仕立てという選択肢が出てきます。
従来のように、コットンはより涼しくとお考えの方には、向かないおススメかも知れませんが、コットンという優れた天然素材には、まだまだ多くの可能性がありそうです。
ジニョーネのコットンコードレーン
ジニョーネはイタリアの服地ブランドですが、カノニコやロロピアナなど老舗といわれる服地ブランドに比べるとその歴史は比較的浅く、1964年というので50年ほど。
このジニョーネのコットンコードレーン生地に、お気に入り素材を見つけました。コットンにはとても精力的に見えるジニョーネには、裏表ともに使用できるリバーシブルタイプのものなどもあり、コードレーンもそのバンチブックに収録されているもの。
まず目を見張るのが、白地に対してコードレーンを構成するそのカラフルな色の種類の多さで、素材はあえてコットン100%にこだわらず、ナイロンを30%ほど混紡することで、シワになりづらさと生地表面のなめらかな手触りとなっています。
コットンコードの特徴的なところは、コードを埋め込んで作り出される畝状の凹凸感。この畝があるために、夏シーズンには汗ばみがちな手のひらが生地表面に触れたとしても、べたつかずさらっとしたさわり心地が、涼しげ。見た目にも涼しさを感じさせてくれるというものです。
理想的には、このコットンコードレーンを用いたベスト付き3ピーススーツというところですが、夏にはおなじみの色柄とはいえ、はっきりとした色合い・色柄の素材のため、ジャケットのみ、ベストのみ、またはベスト+パンツの組合せで、ファッションの一部に取り入れていただく工夫をされるのがおススメです。。
コットンスラックスに相性の良いディテールデザイン
カジュアル色の強いコットンスラックスなら、オーダーパンツならではのディテールデザインもより多くのものをお楽しみいただくことができるのではないかと思います。
シルエット的な部分でも、ストレッチ性の高いコットン生地が広く普及しているため、伸縮性の少ないコットンでも、現在好んで着用されるタイトめなパンツへの対応も問題なしです。
標準的なビジネスパンツでも、パンツの後ろポケットをフタ付きとしたり、左右釦止め、またフタの形をベース型や、ループ止めとするなど、比較的大人しめなデザイン変更をお楽しみいただくことができるオーダーパンツですが、これが素材=コットンとなると、その巾もぐっと広くなります。
例えば、アイビーパンツに特徴的な、パンツ後ろの尾錠(バックストラップ)、これに加えて左右脇にオプションで付けることができる脇尾錠(サイドストラップ)などは、パイプドステムというアイビーパンツ仕様に特徴のあるパンツシルエットに馴染む深いデザインというところから、オプションとしてお選びいただく方がとても増えています。
また、コットンは丈夫なため、作業用にも用いられるというところから、ワークパンツ風に、カーゴポケットを付けるオーダーデザインにもご対応させていただけます^^
夏はコットンベストでいこう
若い方を中心にベストを好んで着る方が増えてきており、実際テレビ番組などでも芸能人がベストを着ているシーンを多く見るようになったと思います。そのためか、縫製工場でもベスト縫製のキャパシティーを超えた受注のため、ベストを含むスリーピーススーツや、オッドベスト(ベスト単品)のオーダー納期が他のオーダーアイテムよりも長く必要になっています。
せっかくベストをオーダーするのだからということで、コダワリのベストデザインのご依頼も多く、一番多いのは、やはりベストの前身頃と背部分を共生地で仕立てる、「ベスト背表共生地」という仕立て方でしょうか。これに尾錠を付けたりすると、カジュアル向きなベストができます。特にコットン素材で仕立てると、カジュアル感も強く、春夏シーズン向きの軽快さもでるのでおススメ。また、コットン生地はリネンやオーダーで仕立てる他の素材よりも生地単価が抑えられているため、オーダーベストといえでもお手ごろ価格ですし、また「ジレパン」(ジレはベストのため、ベスト+パンツ)というコーディネートも関心度が高まっているため、コットンのオーダーパンツと色違いで仕立てるオーダーベストといった組合せも楽しめそうです。フロント釦を変えてみたり、穴かがりの色指定や、一般には胴裏地と同じ生地を使う、ベスト背部分を、表生地の色合いに合わせたり、また反対色を使ったりといった個性的なベストのオーダーにもご対応可です。
オーダースーツ Pitty Savile Row
http://www.order-suits.com/
ビジネスで着るネイビーコットンスーツ
コットン=必ず春夏向け素材という考え方は、そろそろ捨てたほうがいいのかも知れません。さすがに秋冬用とはコットンにあるイメージからは言いがたいですが、目付けも300g程度としっかりあるコットン生地はオールシーズンタイプのコットンとして、オーダースーツ店の店頭でも人気があります。
春夏には涼しく、秋冬には暖かく衣服内を保ってくれるコットンなので、比較的暖かめな秋冬が多い近年では、カジュアル感があり着心地も良く、丈夫なコットンの需要というものは増えてきて当然かも知れませんね。
ウール地に変えてビジネスで着るコットンスーツなら色はネイビー。清潔感がありますし、お仕事上まじめな感じを出すのには、最適な色。また、同じくビジネススーツに多いグレー系よりも、コットン素材についてはより多くの生地ブランドで展開しているのがネイビー色というところもあるかも知れません。グレイのコットン生地というのは、案外珍しいのですが、クールビズを含め、コットンがビジネス仕様としてより浸透することで、今後増えてくる色とは言えるかも知れません。
クールビズといっても、実際にジャケットが不要となるのは7月下旬から8月、そして9月初旬程度まで。少しジャケットを羽織りたいときには、ネイビージャケット、ネイビーで上下揃いのスーツというのが、手元に1着あるとお仕事上便利かも知れません。。
オーダースーツ Pitty Savile Row
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コットン素材を両面使い、リバーシブルコットン
ジニョーネという比較的新しいイタリアのファブリックメーカーに、コットンで織られたそれぞれ異なる2枚の生地を、リバーシブルという両面使い用とした、少し変わった生地を見つけました。素材もコットンということで、織り柄はファンシーなものが多く、グレンチェックはハウンドトゥースやストライプ柄なども、それぞれの柄を構成する色はカラフルなもの。2枚の織り柄のコットン生地を、表裏に貼りあわせたような作り方になっているためか、生地は重めで、1平方メートルあたり300g程度。
スーツやスラックスがどのように作られているか、つまり、どの部分でリバーシブルの効果のある仕立て方をできるかということを、考え出すとなかなか楽しいです。
単純にパンツならよくあるのが、ダブルにすることで、その折り返し(カフス)部分が、表生地と異なるものを、裏側で出すなど、裾巾細めでロールアップ感覚ではいてしまうというのも簡単ですが、効果が高そうです。
ジャケットなら左右逆に作ってしまうというのも、ひとつの方法で、普通なら別生地を取り寄せて仕立てる必要があるため、生地代が高くなってしまうところですが、裏表使える1枚の生地で上手に無駄なく裁断できます。ここまで、大きなデザイン変化はなくとも、アウトポケットやポケットのフタをひっくり返して別柄や、裏仕立てを背抜き仕立てや、広見返しとすることで、表生地・裏生地の柄違いを楽しむなど。
オーダースーツ Pitty Savile Row
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コットンジャケットに合わせる釦
コットンは天然素材なので、それに合わせる釦というのも、素材感や色調を合わせるために同じく天然素材、例えば本水牛釦や、ナット釦、貝釦(シェル釦)というのが好ましい。革釦というのもありますね。
コットンジャケットで最もオーソドックスな色がやはりアイボリーやオフホワイトなどの生成りに近い色でしょうか。こういった色合いのコットンジャケットに合わせる釦は、やはり茶系ということになり、本水牛の角から削りだした本水牛釦(リアルホーン釦)や、木の実から作られるナット釦、黒蝶貝、白蝶貝、茶蝶貝から作られる貝釦など。同じ茶系でもそれぞれに濃茶、薄茶、赤茶ほか、グリーン系などのものまであり、ベージュ、アイボリー、茶系がベーシックなコットンジャケットに相性が良い釦は、これら天然素材釦にこそありという感じです。
また、春夏シーズンがすすんでくると、関心度が高くなるオーダーパンツ。昔から、パンツだけなら既製品で間に合うという考えの方が多いのですが、実は作りは比較的単純ですが、活動量の多いパンツは履き心地がその裁断、生地、縫製手法により差の出るアイテムです。ジャケットを羽織る機会が減る夏には、パンツにかける費用を少し多めに捻出することができるために、その用いる釦も、有料オプションとなる高級天然素材釦を付けるということも、充分許容範囲内のオーダー方法だと思いますよ。。