老若男女に親しまれるコットン

日本語で綿・英語でコットン、昔から小さい子から高齢者までお世話になって愛されている繊維です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、綿は綿毛から作られるのですが、綺麗なクリーム色の花を咲かせます。
きれいな花を咲かせたと思ったら、その翌日に花の色が赤に変わり、大きな実ができ、真っ白なコットンの繊維が出てきます。
肌触りの良さは、いろんな繊維の中でも優れています。
繊維の先の方が丸みを帯びているので、肌へのタッチがとても優しい、赤ちゃんやアレルギー体質の肌にも合っています。
そして地球にも優しいのです。
天然に作られた綿は、自然に帰っていきます。
年間18億トンの二酸化炭素を吸収して、13億トンの酸素を生み出し、とてもエコな植物なんです。
コットンの魅力が少しでも伝わったでしょうか。

通勤にも休日にもコットンを

ビジネスシーンにクールビズが取り入れられカジュアルな装いをした人たちも多く見られるようになった。
通勤&休日に着回せるコットンスーツに注目したい。
ウールとは一味違った発色きれいな色柄やストレッチ素材が混紡された生地まで。
そんなコットンスーツがイタリア人に好まれたのには理由があります。
イギリス人がイタリアのリゾートでコットン素材のスーツを着る姿をみて惚れ、イタリアの普段着にしたのです。
英国よりも温暖で、世襲制の中小企業がほとんどで、のんびりとした気候風土や国民性に合ったのでしょう。
まずはコットンジャケットから、是非そのカジュアル感を身に纏って頂きたいです!

世界各国の綿花生産事情

世界最大手の綿花輸出国であるアメリカは南部の17州が種まきから収穫までの工程すべて機械化されています。
年間2600万トンのうち400万トンを生産。
中国も同じように400万トン程度生産されています。
アメリカとは反対に中国綿は手摘みで収穫が行われています。
自由相場がないので農家は国に売却し、管理や加工においては国家機関の各部署が担当しています。
インドは世界で最も栽培品種が豊富な国となっています。
気候(モンスーン)に影響され生産量が不安定でしたが
遺伝子組み換え綿花によって、生産量を増幅させ、アメリカを追い抜いて中国に次ぐ第2位となりました。
栽培される地域によって綿花の個性が違ってきますし、紡がれる糸にも生地にも受け継がれていきます。

コットンジャケットのシワを正しい方法で取る

天然素材で春夏カジュアルとして大変人気のあるコットンですが、シワが付くとどうしても気になってしまう。
コットンジャケットの美しさを保つために、誰でも簡単に出来るシワ取りをご紹介!
しかし何故コットンはシワが比較的付きやすいのでしょうか?
他の繊維に比べてコットンは中が空洞になっているので、水分が多く含む構造になっています。
水分を含むと繊維の中の分子がバラバラになって、感想するときにシワが寄っていると、分子はシワ状態で再結合します。
そういった性質を利用して、霧吹きなど水分のある状態でアイロンを掛けるとしわが伸びやすくなります。
袖→後ろ身頃→前見頃→襟の順。
アイロン掛けが終わっても繊維内に水分が残っているので、必ずハンガーに掛けて形が崩れないようにしましょう。
前釦を閉めておくとしっかりした形が記憶されるので、これも重要なポイントです。

何故、冬にもコットンが良いのか

コットンというと春夏素材の定番となっていますが、実は寒い時期にも魅力を存分に発揮してくれます。
今の時期には「夏バテ」を良く聞きますしそういう状態になっている人を見かけますが、同様に「冬バテ」もあります。
室内と室外の温度差によって生まれる疲労感が原因です。
温度調節機能に優れたコットン素材は生活を快適にしてくれます。
夏はもちろん汗をかくのですが、冬でもコップ一杯以上の汗をかいているのです。
寒さ対策も、汗対策もしなければいけません。
吸湿性の高いコットン素材は生活を快適にしてくれます。
重ね着をしてオシャレを楽しむ秋冬は、脇の下が汗ばむ。
そんな時にはコットン素材の吸湿性が高い下着を身につければ心配ありません。

静電気が発生しやすい素材としにくい素材の違いとは?

誰しも静電気の発生にちょっとしらイライラを感じたことはあると思います。
ドアノブを触った時、コンビニの飲み物コーナーの扉を開けた時、セーターを脱ごうとした時
帯電している静電気が放電されることによって「パチッ」といった現象が起こります。
衣類によっても静電気が起こりやすいモノと起こりにくいモノがあります。
マイナス電気が最も帯電しやすい素材はアクリル、プラス電気が最も帯電しやすい素材はナイロン。
綿や麻などの素材はこすれあったとしても静電気は発生しません。
静電気が発生しにくい綿などの素材を取り入れてコーディネートすると、発生しにくくなります。
またウールやポリエステルのような帯電しやすく静電気が発生しやすい素材でも、同じ素材同士であれば発生しにくくなります。
意外と役立つ静電気情報ではないでしょうか。

綿は熱帯地域から生まれる

コットンが生まれる綿の木は熱帯地域の80ヵ国以上で生産されていて、世界で生産される総量の約40%を占めています。
大変きれいな花を咲かせたあとに実ができて、その周りに繊維が細かく成長して、成熟したあとに丸いコットンボールになります。
コットンボールを摘み取って種と繊維を分けて、紡績していく段階に入っていきます。
1本の繊維は200~300の天然撚りがあるので、糸にした時にしっかりと絡みあいます。
さいきんでは化学物質をしようしない農地で栽培されたオーガニック・コットンが環境保護やエコで評価されています。
さきほど紹介した「コットンボール
なんとダイエットにもつかわれているようで、どうやら食前に食べると良いというのです。
そんな事あるわけないでしょ!と思いましたし、やはり専門家の方も危険だと警告していたようです。

北アフリカ戦線でドイツ軍が着用したコットン製の軍服

世の中にはコットン製品で溢れ活躍していますが、戦時中にもその特性を十分に発揮していた。
北アフリカで英米と激戦を繰り広げた、いわゆる北アフリカ戦線でドイツ軍が着用していたコットン製の軍服は、灼熱の気候に耐えうる熱帯用であった。
色は薄いオリーブのようなものであったが、洗濯を繰り返し繰り返し行う必要があったので、色がとても落ちやすく白色に近づくまで使い込まれる服もすくなくなかったそうです。
ズボンには半ズボン、長ズボン、乗馬ズボンの3種類があって、この戦線では他の戦域に比べると服装の自由度が高かった。
正規のものでない鹵獲品(敵対勢力から奪った兵器や物資)を身につけていることも多かったよう。
このように灼熱の地アフリカでもコットンの魅力は存分に発揮されていたワケです。
なんだかミリタリー調のコットンジャケットが仕立てたくなってきませんか?

ストレッチ素材コットンにおけるポリウレタン混紡の役割

ストレッチ素材のコットンにはポリウレタンと呼ばれる伸縮性に優れた素材が数%が混紡されています。
見た目が変わる事もなく、生地に伸びが出来ますから体にフィットして着心地がいい。
シワも付きにくく、取れやすい。
得意分野があれば、苦手分野もあります。
このポリウレタンは他の繊維に比べると経年劣化が早いのです。
一生モノにならないポリウレタン製品ですが、しかし綿100%では実現できない着用感は忘れてはいけないポイントです。
こういったポリウレタンが数%混紡された生地で作られたストレッチコットンは大変人気があります。
自分で素材感を守る方法として「洗濯やアイロンを控えめに」という事です。
水にも熱にも弱いので、必ず当て布することをオススメしています。

世界三大コットンの名を覚えよう!

日常に溢れかえっているコットンですが、その中でも上質なモノを世界三大コットンと呼んでいます。
アメリカのアリゾナ州のスーピマコットン・エジプトのギザコットン・中国の新彊綿です。
それぞれ特徴があり、
スーピマ綿は他の長繊維綿よりも強く、普通のコットンよりも40%くらい強度が高く、色を吸収しやすい。
ギザ綿は位置づけ的にはスーピマよりも上になっています。
繊維が均質で、強度がとても強いながらも油分が多く含まれているので柔らかさも持っています。
新彊綿、こちらも繊維が長く、そしてなめらかで光沢があります。
上記以外にもコットンの種類はさまざまあって、海島綿(シーアイランドコットン)やスビンコットンなどがあります。
一口にコットンや綿と言っても、それぞれ個性があって面白い。