サマーツイードで仕立てる春夏ジャケット。

ツイードは春夏シーズンのものばかりでもなく、イタリア服地で有名なカノニコには、定番のサマーツイードがあります。このサマーツイードは、バスケット織りとか、ホップサックツイードとか言われるざっくりとした織りがされており、見た目にも涼しげで、通気も良いので春夏シーズンに羽織る感じのジャケットにはとてもおすすめ。
ネイビーやグレーのビジネスに適した色柄のもので仕立てられたジャケットなら、クールビズといわれるようなパンツでいることが多いシーズンにも便利で、使い回しの効くアイテムです。
ホップサックツイードといわれる理由は、その昔ビールの原料とされるホップを運搬するのに使用されていた麻袋の織りが、このバスケット調だったため、そのままツイード服地の名前とされています。
ビジネスに向いたネイビー、グレーには濃淡の各種、そのほかオレンジやグリーンなどというカラフルな色柄での展開も人気で、白色ジャケットなど夏にはまぶしいほどな鮮やかさ。ボトムスにはどんな色、素材のものを合わせても爽やかで涼しげです。
凹凸感のある生地表面は、夏らしく、秋冬シーズンには少ない金属的な光沢感が涼しげなのと、ざっくり織り感があるのは、薄地なためのシワの心配を軽減してくれます。

ウィンドーペーンでツイードジャケットを仕立てた

ウィンドーペーン柄というのは、窓枠柄のことで、窓の格子のような碁盤目が、生地柄として織り込まれているチェック柄のこと。日本では、サッカー日本代表がダンヒル生地で仕立てたネイビー地にこのウィンドーペーンが採用されて以降、サッカー人気からか、多くの人の関心を寄せたスーツ生地の織り柄になりますが、柄そのものはクラシックパターンともいわれる古典柄で、その歴史は古いです。
昔は、チェック柄だと太って見えるので、敬遠される人もいたように記憶しており、確かに柄としての知名度はあったものの、各生地ブランドのバンチサンプルにもその収録されている点数はごくわずかに数えるばかり。ここ数年は、とても多いような印象があります。
ハリスツイード、ドネガルツイードなど、ツイード服地にもこのウィンドーペーンの柄は見ることができ、スーツ生地のようにネイビーやチャコールグレーなど無地色に、格子柄という構図よりは、ガンクラブチェックや、千鳥格子に重ねられるオーバーチェックのような織り柄でよく見られます。同じパターンの織り柄の組み合わせに、数種の色が組み合わされています。
ウィンドーペーンのような大柄なチェック柄の下に合わせるパンツは、無地だったり、格子や織り柄なら、柄のごく小さなものなど、素材の厚みもジャケットがツイードなら、相応に合わせます。

ツイードで仕立てるトレンチ型ジャケット

トレンチコートといえば、コットンギャバジンやツイルなどの防水素材で仕立てられる現代的コートの代表的なコートデザイン。このトレンチコートのデザインは、第一次世界大戦時のイギリス陸軍が塹壕(トレンチ)戦用に採用したことに由来するもののため、肩章(エポーレット)、胸に付けられるストームストラップ、ケープバック、バックル付きのベルト、袖口のストラップなど機能的にできています。
オーダーだから選べるトレンチコートの生地素材に、ハリスツイードなどツイード生地というのも選択肢のひとつです。
機能性よりもファッション性と防寒性を重視した、通勤用や少し着丈を短めに仕立てるトレンチジャケットと言われるようなものも、本格トレンチのテイストを残しているので、男性用ツイードジャケットとして、また女性用ならマニッシュっぽく仕立てるジャケットアイテムとしておススメです。
ツイードなどハリスツイードは自然に羊毛がもつ油分での撥水性ぐらいしかないので、防水性重視といったご着用には不向きなところですが、秋冬シーズンにご着用いただくアウターとしての優れた防寒性、そして耐久性、またとても人気の高いハリスツイードで仕立てるトレンチというところがファッション好きにはたまらない組み合わせですね。。

ハリスツイードで仕立てるレディースジャケットにおススメデザイン

ハリスツイードを代表とするツイード服地は、本来作業用に着用されていたということから、丈夫さ、耐久性も大事。生地の手触りはカタメなものが多いのですが、その柄にはレディース用のジャケット柄としてもおススメな色柄が豊富です。
オーソドックスな杉綾や千鳥格子、ガンクラブチェックなど古典柄も、現代的な感覚を取り入れミックス調の数種の糸で織り上げられた優しい色合い、ファンシーな色がらもあり、こういった色柄のものは、特にレディース用ハリスツイードジャケットには向いています。。
レディースジャケットのような女性らしいフォルムには、生地が厚くモコモコした感じのハリスツイード生地は、やさしく、また丈夫な長持ちする素材であるということから、好感度もアップしてしまいそう。メンズのハリスツイードジャケットにはおなじみの、ヘビーデューティーなアウトポケット、なかにはマチ付き、フタ付き、プリーツ付きのポケットデザインよりは、ごく普通にフタ付きポケットのデザインを取り入れ、ワークウエアっぽく着るよりは、普通のジャケットとして着るのが良いと思います。。
スエードタッチなエクセーヌは肌触りもよく、素朴なハリスツイード生地にセンス良いアクセントとなってくれるので、衿タブやエルボーパッチに使うのはとても良いと思います。。

ハリスツイードジャケットのアフターケアについて

ハリスツイードは長くご愛用いただくことができる服地のため、より良い状態でご着用いただくために、日々日常のアフターケアについての知識は必要不可欠。知っていればハリスツイードジャケットについてのご愛着度も増してしまいます。
オーソドックスな色柄が多いので、品質が高いことはもちろんなのですが、良い状態を保つことはご着用時のジャケット価値をより高いものに押し上げてくれそうです。
よくお問い合わせいただくのはクリーニングの回数。ハリスツイードも天然の羊毛から製織されたウール地ですので、生地そのものに油分があり、これがクリーニングばかりしていると抜けてしまいパサパサになり、ジャケットそのものにもあまり良くありません。
そのシーズンのご着用回数にもよると思うのですが、個人的にはシーズン終わりに1回程度が良いような気がします。
また、日々のブラッシングも強すぎるとハリスツイードのような紡毛織物にはありがちな毛玉の原因となりますので、柔らかい豚毛で作られたブラシなどで弱めに、ほこりやごみを落とす程度のブラッシングが理想的。毎日着るのでは、いくら丈夫なハリスツイードも傷みが早いのは当然のことなので、やはり他のスーツやジャケットと同様、休ませながら着用するというのも、アフターケアを含めたハリスツイードジャケットと長く付き合う方法だと思います。

オッドベストにおススメなツイード生地の色柄

オッドベストというのは、スリーピーススーツのようにスーツと共生地で仕立てるベストと違い、オーダーでいうならベストだけを単品で仕立てる、ベストのみ存在するオーダーベストのことになります。
ベストはウエストコートなどとも呼ばれ、英国調スーツスタイルが高い人気を持つここ数年は、スーツもベスト付きのスリーピーススーツでお仕立ていただく方が多くなってきたとともに、クールビズもあまり聞かなくなりましたが、シャツ+パンツで過ごす時間が増えて来たことから、そのトップスとしてジャケットでないプラスワンファッションのアイテムが袖なし胴衣といわれる、動きやすく気軽に羽織れるベストがオッドベストとして選ばれているのではと思います。
秋冬シーズンに着るツイード素材をオッドベストと考えると、その色柄にはとても適したものが多く、またハリスツイードをはじめとして防寒性に優れた素材でもあるので、いわゆる「ちゃんちゃんこ」的な機能性も忘れてはなりません。
日本名「杉綾」と言われる「ヘリンボーン」、千鳥格子と言われる「ハウンドトゥース」、千鳥格子の複合色柄となる「ガンクラブチェック」、窓枠格子と言われる「ウィンドウペーン」、無地でもハリスツイードで仕立てたベストは存在感があっておススメです。
素朴で年齢を問わないですし、若い方が着ても良い印象しか相手に与えません。

無地柄で仕立てるハリスツイードスーツ

ハリスツイードというと、ヘリンボーン(杉綾織り)やハウンドトゥース(千鳥格子)、ガンクラブチェックのオーソドックスな古典柄を色変わりやミックス調で素朴に織り上げたツイード生地といったイメージが強く、やはり定番の一番人気のハリスツイードといえば、チャコールグレーやミディアムグレーのヘリンボーン柄。ハリスツイードジャケットを1着持ちたいとお考えの方なら、まずこれをおいてほかにはありません。
無地柄のハリスツイード生地というのも、毎年必ずラインナップされるもので、年々色鮮やかに赤やオレンジ、イエローなどの色を見ますが、ハリスツイードの生地を暖かくお過ごしいただくツイードスーツとしてお仕事用にご着用いただく場合には、黒やグレー、ネイビーといったビジネスにはおなじみの色をお選びにいただく方が多いようです。。
どうしてもカジュアルジャケットとしてのご着用が多いヘリンボーンや千鳥格子の生地柄では、カジュアルの延長線上のようなイメージが強くなってしまい、カタメなお仕事には不向きなところがあるかも知れません。
このほか、スコットランドの民族柄となるタータンチェックも数多くの種類を見ることができ、なかでもブラックウォッチタータンはその代表的な色柄。スコットランドでは単にタータン、アメリカではプラッドとも呼ばれるそうです。

今年も人気のあるハリスツイード

常に根強い人気のあるハリスツイード。ツイード生地のなかでもその知名度は最も高く、初めてツイード生地に手を伸ばそうかというオーダースーツ好きの方なら、ご検討服地のなかに必ずあげられる生地ブランドです。
2011年にハリスツイード協会という、ハリスツイード生地の商業化に向けて発足された検査機関が100周年を迎え、さらにその注目度が増し、セレクトショップのコラボ商品をはじめ、小物類にいたるまで、このハリスツイードを使って作られているファッションアイテムは数も多くなっていますが、もちろんカスタムオーダー用の生地としても提供されている、ハリスツイード生地は、既成アイテムと比べるとその選べる生地柄もとても多いため、シルエット、寸法、デザインだけでなく、ほしい色柄を選びたいというお気持ちから、このハリスツイードでお仕立ていただくオーダーアイテムをご注文いただく方が増えてきているように思います。
ジャケットが定番とお考えになる方が多いハリスツイード生地は、ブルーデニムとの相性が良いというコーディネートの選択肢がまず、あることがテーラードなジャケットとなるハリスツイードジャケットが若い方にも、ご年配の方にも選ばれやすい理由となっているのではと思います。大人しい素朴な色使いなのに、どっしりとした存在感が、控えめにファッション性の高さを主張してくれるので、オーソドックスな色柄を1~2枚もっているととても便利に使えます。

成人式にツイードで仕立てるスリーピーススーツ

オーダースーツ店を営んでいるこのワードプレスの管理人は、ネットなどでもご注文をいただいたり、自店にご来店いただいて、スーツを仕立てていただいています。
今でこそ仕立てやすい価格でのオーダーが浸透しつつあるのですが、おそらく10数年ぐらい前までは、国産生地でも仕立てても、1着のスーツとしてはなかなかに高額で、名前の通った舶来生地ならごく一部の方しか袖を通せないようなものだったと思います。
ここ数年は、安いものでは3万円ぐらいから仕立てられるスーツのご案内など、それこそネットを通してよく知られるようになったためか、若い方を中心に、特徴のある生地で、ご自分のしたいスタイルでのオーダーというのが、サンプル見本や、ご自分採寸などでもよくいただくようになりました。
成人式は・・と、過去のご注文履歴などを思い出してみると、だいたいがご成人者の親御さんが、当店のお客様で、そのお子様のご成人祝いにというケースがほとんと、ご本人が一人でご来店ということはまずなかったように記憶しています。
今年は、どういうわけか、ハリスツイードを使ったスリーピーススーツというご注文が多く、1月初旬の寒い時期なので、厚手で暖かなハリスツイードを使い、正式であらたまったイベントなので、ベスト付きのスリーピースということなのだと思います。。
当店ごときの小さなショップで、3名もというと、どこか大手雑誌でそんな記事でも掲載されたのか、と思ってしまいました。
お一人は、明るめブルーのヘリンボーン、ブラックウォッチで2ピースとライトグレーでベストを仕立てる別生地仕立てのスリーピース、ハリスツイードでは王道的なミディアムグレーのヘリンボーン使用。ハリスツイードのような生地で作っておくと、成人式の後にもスーツで着なくとも、パンツやジャケット、ベストと着回しを楽しめそうですね。。

ハリスツイードで釦・裏地など付属類を工夫する

ツイードのような生地が厚地で、堅め、独特の風合いのある服地で仕立てたジャケットなどの場合には、それに合わせる釦、裏地などの付属類も、その存在感の強さに負けてしまわないように選びます。
多くのハリスツイードを含めたツイードジャケットで相性が良く、見ることが多いものはやはり、革素材を原料とした革釦で、釦の形が半円状に丸みを帯びバスケット状に編んだタイプのものと、プレーンな平たいタイプのもの。天然素材となる革釦の基本色は茶系および黒で、ジャケット生地の色によって濃い目の茶系釦とするのか、また明るめの茶系とするのかなど、迷うところです。。
秋冬シーズンに着用する本来防寒着的なハリスツイードのジャケット裏地は、これは迷うことなく前身、後身ともに裏地を付けていただく総裏仕立て。素材は一般に標準裏地とされているポリエステル、有料裏地となるキュプラ裏地や、古い昔には高級裏地の代名詞とされていたアルパカの裏地など付けてみるのも、ファッション上級者的なウンチクのひとつとして楽しみが増えてしまうかも知れません。アルパカは、アンデス山脈の高いところに生息している山羊の一種です。
寒いときなどに衿を立てて、というご着用方法はされないまでも、チラッと見せたいカラークロスを、エクセーヌや、革のほか、通常は専用の素材が付けられるのですが、ジャケットと同じ生地で作ったりということもぐっとコダワリのハリスツイードジャケットとしての愛着度が増してしまいそうです。