月別アーカイブ: 2013年9月

1着目に選ぶツイードジャケット

年齢を重ねた今でこそ、オーダーアイテムのことについて多くを知識として蓄えることができているので、ツイードジャケットを1着めに選ぶとしたらなどという、難問にも簡単に答えることができる・・、いや逆にツイードなどの服地、ジャケットのシルエット、現在手持ちのボトムスとの相性や季節感など、種種雑多などうでも良い雑学までもが邪魔してしまい、悩みの多いことかも知れない。
あえて、現在のツイードジャケットを1着目という自問自答に答えるとするなら、やはりハリスツイードジャケットアイリッシュツイードジャケットでも定番といえる、ヘリンボーン柄。目付けはあまりヘビーウエイトのものは今時の暖かな気候から避けたいところ。ハリスツイードなら400グラム若しくは480グラムというところだから、軽めの400グラムを選びたい。ヘリンボーンは決まっているので、次に地色だが、ネイビーよりもグレー系のほうがらしいツイードジャケットとなる。チャコールグレー、ライトグレーよりも無難なミディアムグレーを選ぶのが、1着めのツイードジャケットという課題最大の宿命と言えるかもしれない。
仮に、若かりしころなら、なんの躊躇もなく、店頭にならぶプレタジャケット、若しくは生地群の中から、一番目立つ生地。自分に似合う、似合わないはまったく関係なく・・というセレクトなのかも知れない。

ツイードジャケットに合わせたいスラックス

まだ室内では半袖でくつろぐことが多いですが、外出時には大人の半袖はちょっと恥ずかしい感じ。シャツ+スラックスの軽装もそろそろおしまいで、ジャケットを羽織りたくなる季節です。ホワイトカラーのサラリーマン的には、スーツ姿のほうが断然格好が良く、一昔前なら、このスーツ姿に惚れた女性も多いのではなかったのではないか・・。
薄手で軽くが夏の衣服。秋冬に向けては、できるだけ暖かくというのがスーツやジャケットに与えられた大きな課題となります。秋冬シーズンの必須アイテムとなるツイードジャケットに合わせるのには、どんなパンツ、スラックスが良いだろう。
ツイードといっても種類が多いが、現在のツイードはハリスツイードやドネガルツイードに代表されるように、ざっくりとした厚地の紡毛織物で、目付けも400g程度もする重めのファブリック。これと相性の良いパンツも自然、重量感のあるものとなる。
まず、おススメなのは、モールスキンと言われる生地表がもぐらの肌のように毛羽立ち感のある厚手コットンや、キャバルリーツイル。キャバルリーツイルは、日本ではなまってキャバリーツイルと言われるもので、綾織りが65度程度の急角度となった二重の畝織り、丈夫で弾力性がある織物です。
また、フラノやコーデュロイというのも秋冬のパンツ素材としては忘れてはいけません。

ツイードジャケットをメイド・トゥー・メジャー

9月も中旬にさしかかってくると、日中の暑さはまだ30度を超す日もありますが、オーダースーツは、すぐにはできないので、少し厚手のものの用意を考え出します。
有名ブランドなどがよくいうメイド・トゥー・メジャーというのは、いわゆるパターンオーダーのことで、仮縫いといわれる中縫いの付くフルオーダーを若干簡略化し、既存のパターンを調整することで、寸法調整などの微調整をするというもの。
ツイードジャケットなど厚地のものをオーダーするときに、たまにいただくお問い合わせにハリスツイードなど生地が厚いジャケットをサンプルとする場合と、春夏スーツなど薄手な生地をサンプルとして仕立てる場合とでは、注意が必要か・・というもの。
おそらく着心地感などと、厚手・薄手というところが混ざってしまっているのだと思いますが、採寸寸法としては、見本とするジャケットの生地の厚さに関係なく、ジャケットの内側を採寸しますので、心配はありません。
また、これはツイードとは別ですが、ストレッチ素材は着心地を左右する素材ですが、ゴムではありませんので、1cmも2cmも伸びることはなく、フルオーダーで20万もするスーツでも、仮縫い時には、芯地・付属がつかない状態での仮縫いとなります。
サンプルスーツがストレッチ素材の場合には、同様のストレッチ素材を選ぶこと。
サンプルスーツからのメイド・トゥー・メジャーはほぼ、間違いがないといえます。

ハリスツイードとドネガルツイードを比べてみる

服地の織り方はなかなか微妙で、素人が見てもわかりづらいことが多いですよね。ツイードなどだいたいざっくり織ってあるような厚地の織物はみーんなツイードといってしまうことがあり、綾織り(ツイル)の語源がツイードなど、忘れてしまうほどです。
ウォームビズ人気も高まってきているせいか、ツイード、なかでもハリスツイードやドネガルツイード(ドニゴールツイードという場合もあります。)は、特に雑誌等で目にすることが多くなる秋冬の入り口ともなる9月ですね。
実際、この二大ツイードのさわり心地とか、見た目とかを比較検討してみることにしました。もちろん、自分がジャケットオーダーすること前提で。
ハリスツイードは、差し毛とか死に毛といわれる、最も外側に生える白髪のような外毛にちくちく感もあり、若干硬い感じがします。また、織り柄もまったくオーソドックスで、ヘリンボーンもグレーや濃い目のグレー、ネイビーの濃淡、せいぜいがガンクラブチェックといったところ。これに対して、ドネガルツイードは、ホームスパンといわれるいわゆる手紡ぎ、手織りはハリスツイードと同じですが、ほんわかアンカットパイルのような織りに、ネップといわれる染ムラなどのイレギュラー感もあり、ハリスツイードよりは優しい肌触りのような印象を受けました。
ハリスツイードは、漁師さんが船の甲板の上など、厳しい寒風にさらされるなかの生活着からのものなので、より丈夫にできているのか・・というのが感想です。

ツイードで仕立てるスリーピーススーツ

ツイードは多くの織物がそうであるように、生産される地域に密着したもの。生活風土の必要性から需要があり、生産されていたもののうち、品質の確かなもの、商業的に成功したものが広く広まりました。
その代表的なものはやはり、ハリスツイードといわざるをえません。独特の重量感、その生地の風合い、検査機関であるハリスツイード協会が認定したものだけに与えられる生地マークは信頼の証です。
ツイードの本来の意味は、手紡ぎの紡毛糸を手織りで綾織りに織った、英国スコットランド特産の綾織物のことをいいますが、現在ではざっくりとした太糸で織られた厚手でカントリー調の織物のことをすべてツイードと呼ぶことが多くなっています。
こういったハリスツイードやドネガルツイードなどアイリッシュツイードのような厚手な織物は、コート、ジャケットなどアウターとしての用途に向いた素材と思われがちですが、近頃ではウォームビズというようなエコな志向とも重なり、ベスト付きスリーピーススーツとしてご新調になる方も増えてきています。ツイードが英国生まれ、ブリティッシュ仕様なクラシックなモデルの人気が戻ってきており、加えてどうせなら、イギリス的にいうところのウエストコートを加えたベスト付きスリーピーススーツで、かっこ良く暖かくというところかも知れません。