ビジネススーツや、すこしかっちりめのジャケットに一般的に付けられるポケットがフタ付きの切りポケット(ポケット口に切り込みがあり、袋布が取り付けられているもの)とするなら、カジュアル色の強い、ハリスツイードやカシミア混、フラノやメルトンのジャケットには、ジャケットの表生地に貼り付けられるデザインとなるパッチポケットは、よく馴染みます。
このパッチポケットの形は、とても種類が豊富で、単純にジャケットと共生地を外側に貼り付けたものや、パッチポケットの形を真四角としたり、台形のほか、このアウトポケットは物入れのために、つけられているのではなく、主に飾りである意味合いが強いのですが、外付けの袋部分に、プリーツを内側の箱ヒダとなるように付けたり、逆の外ヒダで付けるなど、凝ったものも多く見かけます。
このアウトポケットに対して、フタを付けたり、そのフタをボタン止めとするというデザインもよりカジュアル度の高いジャケットとしては定番のデザインです。こういったデコラティブなデザインは、春夏ものの薄手なものでするよりも、ハリスツイードやドネガルツイードなどのがっしりとした目付けの厚地のもので装飾すると、フタも厚地で主張があり、ポケットそのものの存在感もよりアップ。せっかくの、アウトポケットデザインをより効果的に楽しめます。
月別アーカイブ: 2014年8月
ホーランド&シェリーのツイード
ホーランド&シェリー(HOLLAND & SHERRY)は170年以上にわたり、最高品質のオーダー服地を提供してくれる英国の老舗マーチャント。その扱い生地はとても幅広く、夏にはリネン100%の生地となるSouth Pacific Pure Linenが、とても人気。
また、これからの秋冬シーズンには、ハリスツイードを独自にセレクトして収集した、ハリスツイードカタログをはじめ、ざっくした織り感と野趣ある風合いのツイード生地も数多いラインナップがありますが、なかでも明るめな色柄が多いシェリーツイードは、目を引かれるものが多く、目付けも310~350g程度と、ハリスツイードやドネガルツイードよりも軽めなため、明るく軽快な色合い、都会的センスの色柄等から、ハリスツイード等のツイード生地とは、また着用シーズンを変えた楽しみ方をできるのではと思います。。
オレンジやダークレッド、定番のネイビーやグレーはもちろんですが、ライトブルーなど、1トーン明るめなミックス織り。深い色表現を可能としています。ホームスパンに見られる色ネップも鮮やかな色が多く、かといってヘリンボーンやガンクラブチェック等定番中の定番のクラシックパターンも好みを探すことができる、64柄のシェリーツイードは、秋冬シーズン見逃せない、一押し、関心度の高いツイード服地。
ハリスツイードなど輸入生地価格と消費増税
今年、平成26年4月よりの消費増税に加え、ハリスツイードなど輸入生地価格が、若干の値上がり。商社のユーロ外貨建て取引の影響らしいのですが、あまり難しいことはわかりません。秋冬シーズンに人気のこのハリスツイードやドネガルツイードの生地価格にもその影響は明らかに出ており、少々の生地価格なら同じお仕立て上り価格で・・という、自分の懐具合はまったく無視し、向こう見ずな太っ腹の姿勢を常に見せるオーダースーツ店・店主ですが、今回ばかりは・・。
とにかく消費税の5→8%、この差額3%というのが悩ましいですね。8月中旬の今頃というと、夏の終わりから秋口にかけてご着用になる春夏スーツ、なかでも若干生地目付けが重め、目詰まりの良いオールシーズン向けな生地となるのですが、ハリスツイードは生地の知名度もあり、人気も高い服地なので、どうせ仕立てるなら、長いシーズンを着たいのはどなたも考えることらしく、早めにご案内しておけば・・というところです。。
今年の生地柄の中で目立つのは、タータンチェックと言われる、イギリス伝統の織り柄の中でも、明るめな発色の良いもの。あまり素人向けではなさそうですが、ベストなんかにするといいのかも・・と思ってしまう生地ですね。
あとは、もうこれははずせない定番中の定番な、ヘリンボーンやガンクラブチェック。手始めにまず1着持つなら、このオーソドックスな色柄がおススメ。
トラッドなタータン柄ツイード
タータンチェックの定義はと言われるとなかなか適当な言葉が見つからず、なんとなくグリーンと黒の格子柄が規則的に並び、その格子柄を大きく囲むようにプレイドと言われる大格子柄があるイメージ。イギリスのバッキンガム宮殿の衛兵のはく衣装が、それでブラックウォッチタータンが、まず頭に浮かぶタータンチェックです。
このタータンチェックと、今がまだ夏なのでコットンで作られることが多いマドラスチェックとの違いについてもまた難しいところで、マドラスチェックのほうが、規則的な格子でなく色使いも明るめで・・、というところだろうか。
この秋冬シーズンに新入荷したハリスツイードのジャケット生地の中には、このタータンチェックと言われるブラックウォッチ以外、赤やオレンジ、黄色などとかなりカラフルな色使いで織り上げられたタータン柄のツイード生地が目に付きます。もちろん、ハリスツイードといえば、ジャケットとなるように、こういった少しハデ目なタータン柄ツイードの生地でジャケットをオーダーもいいと思うのですが、挿し色的なオッドベストも、全体的に落ち着いたトーンのものが多く、素朴で、見た目もざっくり感があり野趣ある風合いのカタメの服地といわれるハリスツイードジャケットにプラスする同素材アイテムとして、ベストがとても人気があることを考えると、頭の隅に入れておきたい2014~15年秋冬のコーディネートですね^^