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ハリスツイードに味わい深さを足すケンプ

一般的には死毛と呼ばれていて、生地表面のなかに白髪のように見えるケンプ(死毛)。
これが素朴な風合いを与え自然な色合いな仕上がりへ一役買っている。
ホームスパンならでは。
一本一本が割と硬い毛なので触れるとごわつきますが、それが丈夫さを生み出す要因にもなっています。
軍服のコートなどにも積極的に使われていた時代もあり、クラシカルで実用的な生地には欠かせないモノな気がします。
染色しても染まらないため色は白で、黒やチャコールグレーや紺色の無地系統ではこれが目立っているので分かりやすいでしょう。
逆にサキソニーやチェビオットツイードはこのケンプが厳しく禁止されている。
どちらも良さがあるのは間違いない。

経年劣化さえ愉しめるツイード素材のジャケット

ハリスツイードやシェリーツイードで作られるツイードジャケットの原型は
英国紳士達が狩りや乗馬や釣りなどのスポーツをより良く楽しむ為に身にまとっていたアウターであり、英国貴族のスポーツウェアなのです。
アクティブに激しいスポーツでも擦れたり少々荒い扱いをしても、ビクともしないような丈夫さ。
10年、20年着たハリスツイードは経年劣化に伴い新品とは異なる深い味わいや風合いが出てきます。
またビンテージハリスなるモノがあり、これは適度に油分が抜けた状態のハリスツイードで、少しパサついた感触があります。
通常、生地原毛には油分が多く残っているのですが、年月を掛けて徐々に抜けていくのです。
独特の素材感となって、マニアには堪らない。

5歳から糸紡ぎを、伝統的なハリスツイード生産

ハリスツイードは「ハリスツイード・オーソリティー」が品質管理を行い、紡績と仕上げをする工場が3社り、そして自宅で職人さんが織っています。
このような仕組みでハリスツイードは生産されています。
スコットランドでは糸を紡ぐ人と、その糸を買って織る人は別で分業体制。
しかし産業革命が起こり紡績工程が誰でも出来るようになったので、紡ぎ職人は失業してしまった。
機械化の流れが押し寄せましたが、伝統的な製法は保持し続け、高品質を守り続けている。
品質が保たれているのは国がしっかり管理しているからで、ハリスツイード庁・ハリスツイードミル・ハリスツイードウィーバーズ協会・ハリスツイード産業連絡会といった機関が設置され厳しくチェックしている。
どんな伝統製品にも共通していることではありますが、ハリスツイードもまた若者織工の育成も積極的に行っている。