ツイード素材に付いてる毛玉のようなもの

ハリスツイードで仕立てたスーツやジャケットやスラックスを見てみると毛玉?と思うような繊維が集まっている箇所があると思います。
それはネップと呼ばれ、糸同士が絡んで不規則に出来たものです。
大きなものから小さいもの、目立っているものやそうでないものもありますが、それがツイード素材も素朴で自然な味わいを醸し出しています。
ツイード素材で仕立てる際にはスリーピースがオススメです。
暖かさを存分に感じることが出来ますしまたジーンズに合わせるカジュアルジャケットとして、ジレパンとして、それぞれ単体で使ってもかなり存在感のあるアイテムですのでお洒落度がUP!
定番のヘリンボンからタータンチェック、ガンクラブチェック、無地は20色ほど。
この秋冬の防寒着はツイードで仕立てたスリーピースを有効に活用しましょう。

ハリスツイードに味わい深さを足すケンプ

一般的には死毛と呼ばれていて、生地表面のなかに白髪のように見えるケンプ(死毛)。
これが素朴な風合いを与え自然な色合いな仕上がりへ一役買っている。
ホームスパンならでは。
一本一本が割と硬い毛なので触れるとごわつきますが、それが丈夫さを生み出す要因にもなっています。
軍服のコートなどにも積極的に使われていた時代もあり、クラシカルで実用的な生地には欠かせないモノな気がします。
染色しても染まらないため色は白で、黒やチャコールグレーや紺色の無地系統ではこれが目立っているので分かりやすいでしょう。
逆にサキソニーやチェビオットツイードはこのケンプが厳しく禁止されている。
どちらも良さがあるのは間違いない。

経年劣化さえ愉しめるツイード素材のジャケット

ハリスツイードやシェリーツイードで作られるツイードジャケットの原型は
英国紳士達が狩りや乗馬や釣りなどのスポーツをより良く楽しむ為に身にまとっていたアウターであり、英国貴族のスポーツウェアなのです。
アクティブに激しいスポーツでも擦れたり少々荒い扱いをしても、ビクともしないような丈夫さ。
10年、20年着たハリスツイードは経年劣化に伴い新品とは異なる深い味わいや風合いが出てきます。
またビンテージハリスなるモノがあり、これは適度に油分が抜けた状態のハリスツイードで、少しパサついた感触があります。
通常、生地原毛には油分が多く残っているのですが、年月を掛けて徐々に抜けていくのです。
独特の素材感となって、マニアには堪らない。

5歳から糸紡ぎを、伝統的なハリスツイード生産

ハリスツイードは「ハリスツイード・オーソリティー」が品質管理を行い、紡績と仕上げをする工場が3社り、そして自宅で職人さんが織っています。
このような仕組みでハリスツイードは生産されています。
スコットランドでは糸を紡ぐ人と、その糸を買って織る人は別で分業体制。
しかし産業革命が起こり紡績工程が誰でも出来るようになったので、紡ぎ職人は失業してしまった。
機械化の流れが押し寄せましたが、伝統的な製法は保持し続け、高品質を守り続けている。
品質が保たれているのは国がしっかり管理しているからで、ハリスツイード庁・ハリスツイードミル・ハリスツイードウィーバーズ協会・ハリスツイード産業連絡会といった機関が設置され厳しくチェックしている。
どんな伝統製品にも共通していることではありますが、ハリスツイードもまた若者織工の育成も積極的に行っている。

ツイードがレディースウェアに取り入れられたキッカケ

もともとツイードは英国貴族が狩猟やフィッシングを楽しむ時に着用するジャケットだったので、メンズ用の認識だった。
1920年代にココ・シャネルが初めてレディースに取り入れました。
撚りが少なくふんわりと柔らかい生地で、女性らしさというものが感じられます。
ここから8年後の2928年に、「シャネルスーツ」が発表され大女優まで虜にしてしまうほど。
「活動的な女性のために作られた服」と表現されていて、美しいシルエットとジャケットから芯地と肩パッドを無くした。
コルセットでウエストを締め上げていて女性達は、そんな事をしなくても上品で活発に動けるシャネルスーツに引き込まれました。
ツイード素材の汎用性は高くジャケットやコートやバッグなど小物類まで。
独特な風合いを持っている生地ですのでとりあえず触り心地や重さなど確認してみましょう!

アウトドアスポーツを楽しむ為のツイードジャケット

英国でのスポーツとは乗馬や釣りのようなアウトドアまで含まれていて、それを楽しむ為のジャケットがスポーツジャケット
長年英国紳士に愛されてきた。
ゲーム用のポケットや風を凌ぐための襟やライフルを乗せるための補強用パッチなど。
機能的でアウトドアに適したデザインとなっていて、その仕様は時代と共に変化している箇所もありますが、丈夫なツイード素材が多く使われています。
一口にスポーツジャケットといっても用途によって分けられ、
カントリースポーツに役立つディテールが施された「ノーフォークジャケット」
乗馬に特化した「ハッキングジャケット」
狩猟時に特化した「シューティングジャケット」
襟や袖裾のカフスが特徴の「サファリジャケット」など。
このようにシーンに合わせた機能的なデザインや起源を追っていくとさらにお洒落や着こなしが楽しくなる!

ハリスツイードだけじゃない、魅力的なツイード素材ブランド

ツイード素材といえばハリスツイードが王道的な存在になっていますが、同じ英国製でも薄くて軽いアブラハム・ムーンのツイードもオススメ。
イギリスではフレッドペリーなど有名ブランドとコラボしたりしています。
350g~375gとハリスツイードと比べると重くなく、コートとして仕立てても丁度良いウェイトになります。
ハリスツイードではちょっと重いと感じる方は、MOONのような比較的軽いツイード素材がピッタリだと思います。
ツイード素材でありながら滑らかな表情も持ち合わせた生地はなかなか面白い。
創業当時から一貫生産に拘り、染色から織り仕上げまで自家工場で行っています。
創業者の死後もその精神が向け継がれていて高い品質を維持し、守られているのです。

岩手と英国のホームスパン

ツイード素材で定番の柄といえばヘリンボーンやホームスパンやタータンチェックなどありますが、これ実は全てホームスパン(homespun)なのです。
手回しで糸を作り紡ぐ織物で、英国では伝統が継承されておらず、東北・岩手で唯一引き継がれているという事実を知って頂きたい。
国産ホームスパンは花巻市で作られています。これは驚き。
本場の英国でも産業革命以降は用いられなくなった手法を使って糸を紡ぎ手織りで生産しています。
ツイードといえばハリスとなっていますが、ホームスパンといえば岩手県花巻市も忘れてはいけません。
そういえば何故ハリスツイードはこんなにも知名度が高いのでしょうか?
これはハリスツイードに似た商品が大量に市場に出回ったことで認知され、スコットランドも持つ自然や背景など雰囲気が相まってブランド化されていったのでしょう。
その地域性こそが魅力に繋がったのです。

荒天で発揮するハリスツイードジャケットの強さ

染色から紡績まで行っているアウター・ヘブリディーズ諸島のガイドブックには「1日に四季がある」と書かれている。
晴れだと思えば暴風雨となって風が強かったり。
ハリスツイードのジャケットはそんな荒天で真の強さを発揮するのだろう。
重厚感があり雨風を凌ぐには十分な耐久性と暖かさ、そしてカントリーに良く馴染む独特な色合いがある。
英国のジェントルマンが乗馬やゴルフやハンティングを楽しむときにツイードジャケットを着ている光景を想像すると、なんとも素晴らしい風景が広がります。
ルイス島にはハリスツイード製品の直売店があるそうで、是非行ってみたいですね!

ハリスツイードの生地ネームコレクション

ハリスツイードの生地ネームはその他と比べて大きく存在感があります。
そこに注目してみました。
1940年代はグレーやブラウン系統が主の単色ミックス。
1950年代には各国に輸出されデンマーク製のハリスツイードタグなど珍しく現存数が大変少ないので希少となっています。
1960年代は全盛期で世界中に輸出され豊富なデザインやカラーで彩られています。
1970年代にはアメリカショップの限定タグも作られコレクターには興味深い頃です。
1980年代にはライトウェイとが誕生し現在へと繋がっています。
こういったタグについてはハリスツイード協会が定めたハリスツイード法(1993年法)によって保護されています。
「HARRIS TWEEDの名前」「オーブのマーク」「筆記体の書式で書かれたHARRIS TWEEDの文字とマークの組み合わせ」
この3つがブランドの要素で、HARRIS TWEEDと呼ぶことが出来るのはスコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で島民が現地で手織りし同諸島で仕上げられたモノしか認められていません。