ここ数年の秋冬シーズンに好まれる服地の傾向を服飾用語で簡単に表わすと、このヘビーツイードとベビーフランネル。
ヘビーツイードは、重さも重く、ざっくりとした織り感が特徴的なハリスツイードジャケットやドネガルツイードジャケットに代表されるような、本来お仕事着としての用途に用いられていたところ、その素朴な風合いが多くの人に好まれ、カジュアルアイテムとして広まっていったもの。ハリスツイードなどは漁師さんが寒い船上での仕事中の防寒着だったので、その暖かさは格別なもの。がっしりと頑丈で耐久性にもすぐれ、重いというところから、ヘビーツイードと呼ばれています。目付けは軽いものでも400g、重いものでは600gを超えるものも。
これと対照的なのが、ベビーフランネル。こちらはベビー(赤ちゃん)のような優しい肌触りをもつ、産毛のような生地の表面感を持つフランネル。フランネルは、一般に繊維の短い紡毛を用いて織られる服地で、この厚地の洋服地として用いられるものを特別にフラノと呼んでいますが、このベビーフランネルは、細糸で織られた梳毛フラノで、重さも軽く、Super100’sなどで起毛された毛羽立ち感は、とてもなめらか。生地感は薄手なため、カジュアルジャケットなどばかりでなく、ウォームビズな傾向からのお仕事向き服地としても多く用いられています。