ハリスツイードの生地ネームはその他と比べて大きく存在感があります。
そこに注目してみました。
1940年代はグレーやブラウン系統が主の単色ミックス。
1950年代には各国に輸出されデンマーク製のハリスツイードタグなど珍しく現存数が大変少ないので希少となっています。
1960年代は全盛期で世界中に輸出され豊富なデザインやカラーで彩られています。
1970年代にはアメリカショップの限定タグも作られコレクターには興味深い頃です。
1980年代にはライトウェイとが誕生し現在へと繋がっています。
こういったタグについてはハリスツイード協会が定めたハリスツイード法(1993年法)によって保護されています。
「HARRIS TWEEDの名前」「オーブのマーク」「筆記体の書式で書かれたHARRIS TWEEDの文字とマークの組み合わせ」
この3つがブランドの要素で、HARRIS TWEEDと呼ぶことが出来るのはスコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で島民が現地で手織りし同諸島で仕上げられたモノしか認められていません。
「ハリスツイード」カテゴリーアーカイブ
ツイード素材の油分が生み出す撥水性
ハリスツイードは原始的な手織りで作られているので油分が含まれていて、撥水性があります。
ウールでも糸を紡いだ段階では油分が残っているのですが、通常は紡績の段階で脱脂を行っています。
カジュアルジャケットやロングジャケットやコートなどに適している所以です。
10年20年と着用することが出来るほど耐久性に優れていて親から子へと受け継がれることも多くあります。
使っているうちに表地よりも先に内側の裏地が傷んでしまいますので、張替えをしなければいけないのですが、そこで雰囲気を変える柄にするとより愉しめると思います。
ハリスツイード全体の80%を生産する最大手
英国のハリスツイード条例には「島民の自宅で手織りする」という決まりがあり、染色から紡績まで行っている。
現在3社ある工場で全工程を管理しているが、その中でも約80%のシェアを占めている最大手がハリスツイード・ヘブリディーズだ。
工場には約80人の社員と約140人の契約職人が、そこで生産された生地は日本そして海外に輸出される。
独特なカラーリング、色柄の豊富さ、ハリスツイードの色は島々にある色から作られ、例えば海や大地・山・森や空・雲。
スコットランドの厳しい気候風土で研ぎ澄まされた、まさに”自然の”色なのでしょうか。
その色を染める為に、通常は糸が出来上がった後に染めますが、糸を作る原毛の状態で染めます。
奥深い色柄を生み出せるワケでしょう。
島民を守るハリスツイード条例
ハリスツイードと明記されている製品にはしっかりとした明確な定義があり、その他のツイードとは違う部分があります。
1つ目は島民の家で島民の手によって織られている事。
そして島とは5つある、ハリス島・ルイス島・ベンベクラ島・サウススト島・バラ島で生産されたモノだけに
ハリスツイード協会認定の印としてお馴染みの生地ネームが付きます。
2つ目は法律でハリスツイード産業が保護されている点です。
漁業以外に発展した産業がなく貧しい暮らしで、ハリスツイードを保護する事で島民を守ろうと国会で議論されたのです。
1933年には【ハリスツイード条例】が可決され、法でハリスツイード産業が庇護を受けています。
4つの条件があり「手織り」「織り子自身の家で織られること」「100%新しい羊毛」「全工程を島民が行う」
これらが守られてこそハリスツイードの称号を与えられるのです。
シャネルのハリスツイードジャケット
ツイードは英国貴族の間で狩猟や乗馬などのアウトドア用として流行し英国王室でも愛用されるようになりました。
米国に渡りあまりコストが高くない事で中間層にも広がっていき1つのブランドとして確率されていきました。
2011年に100周年を迎えた事は記憶に新しい、そしてその1年後の2012年にリントン社が100周年を迎えたのです。
あまり聞いた事がないという方もいらっしゃると思いますが高級ブランドのシャネル御用達のツイードを扱っています。
1920年代にシャネルはリントンと契約が結ばれ「シャネルツイード」と呼ばれている。
ツイードへの情熱は英国紳士ウェストミンスター公爵との出会いであり、魅せられた理由は形に沿って光が変化する生地表情の豊かさだった。
恋人のツイードジャケットを借りて、2人でヨットや狩猟や釣りやゴルフを楽しんだのだった。
ハリスツイードと日本の関係は大正時代から
英国貴族の生活に感化された日本の文化人が日本橋にあった「丸善」ツイード生地の輸入を働きかけた事から広まっていきました。
日本人作家に多くの影響を与えた小説家の志賀直哉 代表作は「暗夜行路」や民芸運動を起こした思想家である柳宗悦ら。
大正ロマンなんて言葉がありますが、文明開化後のこの時代のファッションは独特なモノでした。
袴を着ている人もいれば、学ランを着ている人もいたり、セーラー服が取り入れられたりと新しい文化が入り乱れて発展していきました。
いま秋冬にジャケットの生地として人気のあるハリスツイードが、大正時代の人達も着ていると考えると不思議な気持ちになります。
ハリスツイード以外にもドネガルツイードやシェリーツイードなど魅力的なツイード地が、それぞれ良さがありますので、是非味わいを確かめて欲しいのです。
ハリスツイードのロゴは英国王室のオーブ
ハリスツイードの生地ネームは他のブランドの
生地ネームに比べて大きく4角形なのが特徴的。
そのロゴマークは英国王室の標章である
オーブ(宝珠)がモチーフとなっていて、
オーブはエリザベス女王が国会を開催する時に持っている
杖の先端に付いている王位を象徴する標章です。
そしてヴィヴィアン・ウエストウッドのロゴと大変良く似ているのですが、
ハリスツイードはパロディー的な意味で使っていて、
ハリスツイードは伝統を大切に真面目に使っているようです。
2011年にはハリスツイード協会創立100周年を迎えたという事で、
通常は白地に赤の文字ですが、黒地に金の文字の
アニバーサリーラベルが付いてきました。
ハリスツイード発祥の地スコットランドを知る
ツイード地の中でも「ツイードの王道」とされているのが、
スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島の島民によって
1点1点手織りされているハリスツイード。
今は100名程度の手織り職人がいまして、タグの
シリアルナンバーを調べれば、誰が織ったのか分かるという
徹底した管理が行われている。
スーパー等でキュウリやトマトをどんな人が作ったか分かるような
顔写真や情報が書いてあるポップですね。
スコットランドは発明王国であり、その発明は現代社会に
必要なモノばかりで、それを基に進化発展したモノがたくさんある。
電話、抗生物質、蒸気機関車、テレビ、空気入りタイヤなど。
スコッチウイスキーも有名で、全土に100箇所を超える
蒸留所があり、お酒好きには堪らない。
首都エジンバラの街は「スコットランドの旧市街と新市街」
として世界遺産に登録されている、スコットランドの街並みを
眺めながらウイスキーなんて良い。
弱撥水性のあるハリスツイードはカジュアルジャケットやコートに最適
スコットランドの北西に生息しているチェビエット種という羊の太い原毛を使って手織りされるハリスツイード。
通常はウールに含まれている油抜きをするのですが、ハリスは原始的な手紡ぎなので、こういった一連の作業はありません。
こうして織られた生地は原毛に含まれる油分が残っているので、仕立てたモノは弱い撥水性を保ちます。
アウトドア向けのカジュアルジャケットやコートに適している理由の1つであります。
ハリスツイード発症の地である英国で開催される競馬の祭典で、過去に驚くべき競走馬が現れたのです!
なんと本格的なハリスツイードで仕立てたスーツを着用した競走馬がお披露目されたのです。
観客にもツイードスーツを着用している人が多く、競走馬のスーツ姿に、大喜びした。
ハリスツイードの豊富で魅力的な色柄
19世紀中頃の英国では産業革命が起こり華々しい時に、スコットランドはずれのハリス島ではまだ恩恵を受けられていなかった。
その頃ハリス島ではスコットランド、地元の人達にウールの着物を主に作っていた。
この島の領主であるダンモア婦人がタータン柄をツイードでハリス島の職人にコピーさせ、ハリスツイードを産業として成り立たせる為に、奮闘した。
始め、柄物は少なく単色の生地が主流でしたが、時代が進むと、様々な色柄が生産されるようになった。
ヘリンボーン、ガンクラブチェック、ウィンドウペーン、タータンチェックなど豊富な色柄が秋冬のファッションを楽しませてくれます。