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ツイードジャケットを愛した白洲次郎

実業家であり、米軍による占領時に憲法草案や平和条約交渉などに関わった白洲次郎をファッション面から見ていく。
「日本で最初にジーンズを履いた人物」として知られ、そして「マッカーサーを唯一叱った日本人」とも呼ばれている。
お洒落で生き方も素晴らしく「20世紀で1番カッコ良い男」なのだ。
ハリスツイードなどありますが、白洲次郎が亡くなるまで愛用したのがロンドンのサビルローの名店でオーダーしたツイードジャケットです。
「ツイードなんて、買ってすぐ着るものじゃないよ。3年くらい軒下に干したり雨ざらしにして、くたびれた頃着るんだよ」と語ったそうだ。
着れば着るほど趣深くなる、ツイードを愛した理由がコレなのではないでしょうか!

誤表記から生まれたtweed

ハリスツイードやシェリーツイードやドネガルツイードは冬の定番生地ですが、実はツイードとは綾織を指すツイルが語源なのです。
ではどのようにしてツイルがツイードに変わってしまったのでしょうか?
1830年にロンドンの商人がホイック地方の企業から手紙を受け取り、その内容はスコットランドの生地として商標登録した方が余韻ではないか?という物でした。
ここでロンドン商人が誤表記をしていまい「tweel」を「tweed」に間違えて、この名前になった訳です。
それからホイック地方では今のツイードの織物工場が稼働しているのです。
ホイック地方はスコットランドとイングランドの境にあり、スコットランドの中でも北のハイランドのような荒々しさとは違い
魚が豊富で豊かな自然に囲まれた穏やかな地域です。

島民を守るハリスツイード条例

ハリスツイードと明記されている製品にはしっかりとした明確な定義があり、その他のツイードとは違う部分があります。
1つ目は島民の家で島民の手によって織られている事。
そして島とは5つある、ハリス島・ルイス島・ベンベクラ島・サウススト島・バラ島で生産されたモノだけに
ハリスツイード協会認定の印としてお馴染みの生地ネームが付きます。
2つ目は法律でハリスツイード産業が保護されている点です。
漁業以外に発展した産業がなく貧しい暮らしで、ハリスツイードを保護する事で島民を守ろうと国会で議論されたのです。
1933年には【ハリスツイード条例】が可決され、法でハリスツイード産業が庇護を受けています。
4つの条件があり「手織り」「織り子自身の家で織られること」「100%新しい羊毛」「全工程を島民が行う」
これらが守られてこそハリスツイードの称号を与えられるのです。

シャネルのハリスツイードジャケット

ツイードは英国貴族の間で狩猟や乗馬などのアウトドア用として流行し英国王室でも愛用されるようになりました。
米国に渡りあまりコストが高くない事で中間層にも広がっていき1つのブランドとして確率されていきました。
2011年に100周年を迎えた事は記憶に新しい、そしてその1年後の2012年にリントン社が100周年を迎えたのです。
あまり聞いた事がないという方もいらっしゃると思いますが高級ブランドのシャネル御用達のツイードを扱っています。
1920年代にシャネルはリントンと契約が結ばれ「シャネルツイード」と呼ばれている。
ツイードへの情熱は英国紳士ウェストミンスター公爵との出会いであり、魅せられた理由は形に沿って光が変化する生地表情の豊かさだった。
恋人のツイードジャケットを借りて、2人でヨットや狩猟や釣りやゴルフを楽しんだのだった。

ハリスツイードと日本の関係は大正時代から

英国貴族の生活に感化された日本の文化人が日本橋にあった「丸善」ツイード生地の輸入を働きかけた事から広まっていきました。
日本人作家に多くの影響を与えた小説家の志賀直哉 代表作は「暗夜行路」や民芸運動を起こした思想家である柳宗悦ら。
大正ロマンなんて言葉がありますが、文明開化後のこの時代のファッションは独特なモノでした。
袴を着ている人もいれば、学ランを着ている人もいたり、セーラー服が取り入れられたりと新しい文化が入り乱れて発展していきました。
いま秋冬にジャケットの生地として人気のあるハリスツイードが、大正時代の人達も着ていると考えると不思議な気持ちになります。
ハリスツイード以外にもドネガルツイードやシェリーツイードなど魅力的なツイード地が、それぞれ良さがありますので、是非味わいを確かめて欲しいのです。

ハリスツイードのロゴは英国王室のオーブ

ハリスツイードの生地ネームは他のブランドの
生地ネームに比べて大きく4角形なのが特徴的。
そのロゴマークは英国王室の標章である
オーブ(宝珠)がモチーフとなっていて、
オーブはエリザベス女王が国会を開催する時に持っている
杖の先端に付いている王位を象徴する標章です。
そしてヴィヴィアン・ウエストウッドのロゴと大変良く似ているのですが、
ハリスツイードはパロディー的な意味で使っていて、
ハリスツイードは伝統を大切に真面目に使っているようです。
2011年にはハリスツイード協会創立100周年を迎えたという事で、
通常は白地に赤の文字ですが、黒地に金の文字の
アニバーサリーラベルが付いてきました。

ハリスツイード発祥の地スコットランドを知る

ツイード地の中でも「ツイードの王道」とされているのが、
スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島の島民によって
1点1点手織りされているハリスツイード
今は100名程度の手織り職人がいまして、タグの
シリアルナンバーを調べれば、誰が織ったのか分かるという
徹底した管理が行われている。
スーパー等でキュウリやトマトをどんな人が作ったか分かるような
顔写真や情報が書いてあるポップですね。
スコットランドは発明王国であり、その発明は現代社会に
必要なモノばかりで、それを基に進化発展したモノがたくさんある。
電話、抗生物質、蒸気機関車、テレビ、空気入りタイヤなど。
スコッチウイスキーも有名で、全土に100箇所を超える
蒸留所があり、お酒好きには堪らない。
首都エジンバラの街は「スコットランドの旧市街と新市街」
として世界遺産に登録されている、スコットランドの街並みを
眺めながらウイスキーなんて良い。

ツイードジャケットにダブルステッチを入れ目立たせる

ハリスツイードジャケットなどのツイードジャケットは相性が良く
よりステッチを目立たせない場合にはステッチを2本入れる
ダブルステッチやレールステッチがあります。
ダブルステッチは端から2mmと8mm、端から2mmと10mmの位置に
レールステッチや端から3mmと9mmの位置に入れられる
ミシンステッチになります。
ステッチはお洒落なデザイン性と端を押さえる事で耐久性の
意味があり、端ほど上品になり、内側に入れるほど目立って
カジュアルになります。
さらに通常はフロントだけしか入らないのですが、袖・背・
肩線等にも入る総ステッチ、色糸を指定して頂く事も可能。

ハリスツイードの代表的な柄 ヘリンボーン

フローリングなどに良く使われる柄で山型を連続させたようなストライプの模様で
それがニシンの骨(herring bone)を並べた形に似ているので、ヘリンボーンと呼ばれています。
日本では杉の葉っぱに似ているため、杉綾とも
その柄はハリスツイードの代表であり定番中の定番となっています。
中でもグレー系統のヘリンボーンは1番ハリスツイードらしい生地です。
名作インディージョーンズでハリソン・フォードもツイードジャケットを着ていますね。

歴史あるタータンチェック柄のツイードジャケット

タータンチェックはスコットランドに住んでいたケルト民族が、一族一族を他と区別する為に配色や柄を変えて、家を表す模様だったんです
日本で言うと「家紋」みたいなモノで色んな所で役割を担っていました。
良く見るタータンチェックと言えば赤紺のロイヤルスチュアートタータンでしょうか。
パイプのような楽器隊が身に付けている、これはスコットランドの王族や国民を表しているタータンチェックです。
自分のデザインした柄を登記所に登録し許可が降りれば、自分だけのタータンを作る事が出来るんです
ちなみに伊勢丹の紙袋も、このタータン登記所に登録してあるんですよ。
今年の秋冬はタータンチェック柄に注目し、自分好みの柄を見つけ、ハリスツイードジャケットを仕立ててみてはいかがでしょうか?