英国発のツイードランは、ハリスツイードやドネガルツイードなど、いわゆるざっくりとした紡毛織物であるツイードに身を包み、自転車で走るというイベント。自転車を用いるというエコで健康的な部分と、ツイードの高いファッション性に注目したファッションブランドが主催する毎年恒例のイベントです。
日本では過去には、東京、大阪で数年前から行われていたものが、今年は名古屋でツイードランが初開催。10月26日(土)に、100人ほどの参加者が、ツイードスーツに身を包み、自転車で走ったそうです。確かに自転車に乗ってツイード服を着て走るというのは、個人の年代的にはアガサクリスティーの推理小説の一場面のような気がして、好きですね。ステッキ、マント、くちひげ、シルクハットなど、あとお散歩でしょうか。
静岡では、この同じ時期、大道芸です・・。なんと品がないといいますか、これが東京、大阪、名古屋との文化の差というものなのでしょうか。
ツイードラン静岡が開催される日ははるか遠くなのかも知れないですね。
ただ、この参加者100名というのは、これだけ大きなスポンサーがついているイベントのわりには少人数のような・・。参加するためには、ツイード必須、しかも自転車もそこらのママチャリというわけにもいかず、費用もかかるため、高い広告効果のわりには、参加者不足が悩みの種というところかも知れません。
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一生着たい、ハリスツイードジャケットの裏地張替え
どこかのセレクトショップの店員さんが、ハリスツイードで仕立てたものは一生着られると言っていた。実際、生地にごわごわ感があるほど、ハリスツイードジャケットの生地表は堅めです。いわゆる、外毛といわれるもので、皮膚近くに生える内毛(産毛)と違い、かたく張りのある羊毛で織られています。
耐久性もあり頑丈というのは、ハリスツイードが本来仕事着で、極寒の船上での作業にハリス島、ルイス島の漁師さんが着ていたもの。愛用年数が重なれば、裏地のほうが消耗してしまい、薄くなって透けて見えるほどになってしまったり、擦り切れたりなど。そこまでいかなくとも、汗じみや、汚れで裏地張替えでもして、気分転換したくなるのも人情というものです。
ジャケットの裏地を張り替えるという作業は、簡単ではなく、ほどいてからまた縫い上げる作業は、逆に1着のジャケットを普通に縫うよりも大変な縫製作業。慣れた直し屋さんでも、一日がかりでも大変な仕事量で、腕に自信がない直し屋さんでは仕事そのものを受けてくれません。ジャケットの裏仕立て、総裏仕立てや背抜き仕立てなどでも、縫製作業量が異なり、裏地持ち込みで¥13000~¥14000ほどで、きれいに張替え完了です。裏地は普通のポリエステル裏地で、着分2000~3000程度というところでしょうか。キュプラほか、柄裏地などとなると、また値段が変わってきます。
シェパードチェックとガンクラブチェック
ハリスツイードなどツイード素材の定番柄として見ることが多い、シェパードチェックとガンクラブチェック。どちらも英国服伝統の織り柄といえる、クラシックパターンに属するもの。それぞれに付けられた柄名には由来があり、シェパードチェックは、この織り柄を用いたのが、スコットランドのシェパード(羊飼い)がはじめということから。また、ガンクラブチェックは、英国の狩猟クラブ(ガンクラブ)のユニフォームだったというところから。このシェパードチェックとガンクラブチェックとは、柄がとても酷似しており、というよりもほぼ同じ柄。異なるのは色の用い方になります。
前者のシェパードチェックは、白黒などの2色を用いたブロックチェック中に右上がりに見える二本斜線が配置されているもの、ガンクラブチェックは、シェパードチェックが2色使いに対して、色数を増やし複数色で、構成された同様の織り柄。
余談ですが、このシェパードチェックをシェファードチェックと呼ぶことを耳にすることがありますが、どちらが正しいのでしょう。検索してみると、どちらでも検索でき、いわゆるスペルでのこの「パ」と「ファ」は「P」で表わされる部分のため、どちらでも良さそう。ファッション用語的辞典によれば、シェパードと説明しており、個人的にはシェパードチェックと統一することにしました。なんとなく、犬種名と同じため抵抗があったのですが、どうもこちらが正しそうです。
ハリスツイードのジャケットにオプション釦を合わせる
せっかく仕立てるツイードジャケットには、スーツに普通に付けられている練り釦では少々物足りないと思う方が多いためか、オプション釦を選ぶ方をよく見かけます。
ざっくり厚地の生地は重量感もあり、存在の薄い釦では負けてしまいます。個人的に一番良く合うと思うものが、革釦ですね。バスケット織りのように、革を編み込んだものや、プレーンなもの、色も黒、こげ茶から薄めの茶色など、革本来の色味を残したものが多いです。どちらも自然の風合いを濃く残すナチュラルな素材ということで、相性が良いのかも知れません。
革釦の厚みというのも、ハリスツイードやドネガルツイードなど、生地に厚みのあるジャケットとの相性の良さにつながります。あとは、本水牛釦でしょうか。この本水牛釦は、飴色のような色合いをしたもので、名前の通り、本水牛の角から作られた高級釦になります。この本水牛釦にも、色の濃い茶系から、薄いべっこう飴のような色のものまで。天然の水牛の角から作られた釦のため、同じ色柄がないというオリジナル感を楽しめるところも魅力のひとつです。
釦は、ジャケットのフロントに付けられる大きさが20ミリ、袖釦が15ミリと、ほぼ決まっているのですが、ハーフコートやコート用の釦などには30ミリを超える大きなものなど、装飾的なものもあるため、こだわりジャケットを作ってみたい方は、オーダースーツ屋さんに相談したり、服飾材料屋さんをのぞいてみるなどがおススメです。
ハリスツイードでスラックスを仕立てる
室内の店から出ると、外は急に寒い。やはり日本には四季があるねと、こんなときには実感する。近所の高級中華の店からは、すばらしい身なりをしたご夫人と子供連れが、中華でいいの・・?というほど着飾っている姿を見ることができる。
ここは比較的繁華街なため、佐川急便も台車を引いて荷物を配達しているが、なかなかおしゃれなパンツのはきかたをしており、つまりずり下げてはく、腰パンというやつだろうか。さすがイケメン王国佐川急便は、作業用紺パンツの履き方にも工夫があって関心させられてしまう・・。どちらかといえば、個人的には、佐川女子にこの腰パンをやっていただきたい気持ちに駆られるが、これはそっとおじさんの心の奥底にしまっておこう。
ハリスツイードは、目付けが軽めのもので400g、重めのものでは480g程度あるため、一般にはアウター用の服地ですが、本格的な冬シーズンを迎えるにあたって、ハリスツイードジャケット以外、スーツとして、もしくは、オッドパンツとしての用途もいい。ただ、このハリスツイードで仕立てるパンツは、重めなだけに存在感が半端でないため、ボトムス中心の着こなしを考えないと、もこもこするだけで、おしゃれでなくなってしまう。ハリスツイードのオッドパンツに合わせる上着は、薄手で防寒性にすぐれた素材を選ぶのが正解。本革や人工皮革、ぺらぺら~なビニールだって近頃は高級感があって、十分に暖かい。なにを中心に置くかで、またいつもとは違ったコーディネートを楽しめるというものだ。
1着目に選ぶツイードジャケット
年齢を重ねた今でこそ、オーダーアイテムのことについて多くを知識として蓄えることができているので、ツイードジャケットを1着めに選ぶとしたらなどという、難問にも簡単に答えることができる・・、いや逆にツイードなどの服地、ジャケットのシルエット、現在手持ちのボトムスとの相性や季節感など、種種雑多などうでも良い雑学までもが邪魔してしまい、悩みの多いことかも知れない。
あえて、現在のツイードジャケットを1着目という自問自答に答えるとするなら、やはりハリスツイードジャケットやアイリッシュツイードジャケットでも定番といえる、ヘリンボーン柄。目付けはあまりヘビーウエイトのものは今時の暖かな気候から避けたいところ。ハリスツイードなら400グラム若しくは480グラムというところだから、軽めの400グラムを選びたい。ヘリンボーンは決まっているので、次に地色だが、ネイビーよりもグレー系のほうがらしいツイードジャケットとなる。チャコールグレー、ライトグレーよりも無難なミディアムグレーを選ぶのが、1着めのツイードジャケットという課題最大の宿命と言えるかもしれない。
仮に、若かりしころなら、なんの躊躇もなく、店頭にならぶプレタジャケット、若しくは生地群の中から、一番目立つ生地。自分に似合う、似合わないはまったく関係なく・・というセレクトなのかも知れない。
ツイードジャケットに合わせたいスラックス
まだ室内では半袖でくつろぐことが多いですが、外出時には大人の半袖はちょっと恥ずかしい感じ。シャツ+スラックスの軽装もそろそろおしまいで、ジャケットを羽織りたくなる季節です。ホワイトカラーのサラリーマン的には、スーツ姿のほうが断然格好が良く、一昔前なら、このスーツ姿に惚れた女性も多いのではなかったのではないか・・。
薄手で軽くが夏の衣服。秋冬に向けては、できるだけ暖かくというのがスーツやジャケットに与えられた大きな課題となります。秋冬シーズンの必須アイテムとなるツイードジャケットに合わせるのには、どんなパンツ、スラックスが良いだろう。
ツイードといっても種類が多いが、現在のツイードはハリスツイードやドネガルツイードに代表されるように、ざっくりとした厚地の紡毛織物で、目付けも400g程度もする重めのファブリック。これと相性の良いパンツも自然、重量感のあるものとなる。
まず、おススメなのは、モールスキンと言われる生地表がもぐらの肌のように毛羽立ち感のある厚手コットンや、キャバルリーツイル。キャバルリーツイルは、日本ではなまってキャバリーツイルと言われるもので、綾織りが65度程度の急角度となった二重の畝織り、丈夫で弾力性がある織物です。
また、フラノやコーデュロイというのも秋冬のパンツ素材としては忘れてはいけません。
ツイードジャケットをメイド・トゥー・メジャー
9月も中旬にさしかかってくると、日中の暑さはまだ30度を超す日もありますが、オーダースーツは、すぐにはできないので、少し厚手のものの用意を考え出します。
有名ブランドなどがよくいうメイド・トゥー・メジャーというのは、いわゆるパターンオーダーのことで、仮縫いといわれる中縫いの付くフルオーダーを若干簡略化し、既存のパターンを調整することで、寸法調整などの微調整をするというもの。
ツイードジャケットなど厚地のものをオーダーするときに、たまにいただくお問い合わせにハリスツイードなど生地が厚いジャケットをサンプルとする場合と、春夏スーツなど薄手な生地をサンプルとして仕立てる場合とでは、注意が必要か・・というもの。
おそらく着心地感などと、厚手・薄手というところが混ざってしまっているのだと思いますが、採寸寸法としては、見本とするジャケットの生地の厚さに関係なく、ジャケットの内側を採寸しますので、心配はありません。
また、これはツイードとは別ですが、ストレッチ素材は着心地を左右する素材ですが、ゴムではありませんので、1cmも2cmも伸びることはなく、フルオーダーで20万もするスーツでも、仮縫い時には、芯地・付属がつかない状態での仮縫いとなります。
サンプルスーツがストレッチ素材の場合には、同様のストレッチ素材を選ぶこと。
サンプルスーツからのメイド・トゥー・メジャーはほぼ、間違いがないといえます。
ハリスツイードとドネガルツイードを比べてみる
服地の織り方はなかなか微妙で、素人が見てもわかりづらいことが多いですよね。ツイードなどだいたいざっくり織ってあるような厚地の織物はみーんなツイードといってしまうことがあり、綾織り(ツイル)の語源がツイードなど、忘れてしまうほどです。
ウォームビズ人気も高まってきているせいか、ツイード、なかでもハリスツイードやドネガルツイード(ドニゴールツイードという場合もあります。)は、特に雑誌等で目にすることが多くなる秋冬の入り口ともなる9月ですね。
実際、この二大ツイードのさわり心地とか、見た目とかを比較検討してみることにしました。もちろん、自分がジャケットオーダーすること前提で。
ハリスツイードは、差し毛とか死に毛といわれる、最も外側に生える白髪のような外毛にちくちく感もあり、若干硬い感じがします。また、織り柄もまったくオーソドックスで、ヘリンボーンもグレーや濃い目のグレー、ネイビーの濃淡、せいぜいがガンクラブチェックといったところ。これに対して、ドネガルツイードは、ホームスパンといわれるいわゆる手紡ぎ、手織りはハリスツイードと同じですが、ほんわかアンカットパイルのような織りに、ネップといわれる染ムラなどのイレギュラー感もあり、ハリスツイードよりは優しい肌触りのような印象を受けました。
ハリスツイードは、漁師さんが船の甲板の上など、厳しい寒風にさらされるなかの生活着からのものなので、より丈夫にできているのか・・というのが感想です。
ツイードで仕立てるスリーピーススーツ
ツイードは多くの織物がそうであるように、生産される地域に密着したもの。生活風土の必要性から需要があり、生産されていたもののうち、品質の確かなもの、商業的に成功したものが広く広まりました。
その代表的なものはやはり、ハリスツイードといわざるをえません。独特の重量感、その生地の風合い、検査機関であるハリスツイード協会が認定したものだけに与えられる生地マークは信頼の証です。
ツイードの本来の意味は、手紡ぎの紡毛糸を手織りで綾織りに織った、英国スコットランド特産の綾織物のことをいいますが、現在ではざっくりとした太糸で織られた厚手でカントリー調の織物のことをすべてツイードと呼ぶことが多くなっています。
こういったハリスツイードやドネガルツイードなどアイリッシュツイードのような厚手な織物は、コート、ジャケットなどアウターとしての用途に向いた素材と思われがちですが、近頃ではウォームビズというようなエコな志向とも重なり、ベスト付きスリーピーススーツとしてご新調になる方も増えてきています。ツイードが英国生まれ、ブリティッシュ仕様なクラシックなモデルの人気が戻ってきており、加えてどうせなら、イギリス的にいうところのウエストコートを加えたベスト付きスリーピーススーツで、かっこ良く暖かくというところかも知れません。