ハリスツイードやシェリーツイードで作られるツイードジャケットの原型は
英国紳士達が狩りや乗馬や釣りなどのスポーツをより良く楽しむ為に身にまとっていたアウターであり、英国貴族のスポーツウェアなのです。
アクティブに激しいスポーツでも擦れたり少々荒い扱いをしても、ビクともしないような丈夫さ。
10年、20年着たハリスツイードは経年劣化に伴い新品とは異なる深い味わいや風合いが出てきます。
またビンテージハリスなるモノがあり、これは適度に油分が抜けた状態のハリスツイードで、少しパサついた感触があります。
通常、生地原毛には油分が多く残っているのですが、年月を掛けて徐々に抜けていくのです。
独特の素材感となって、マニアには堪らない。
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アウトドアスポーツを楽しむ為のツイードジャケット
英国でのスポーツとは乗馬や釣りのようなアウトドアまで含まれていて、それを楽しむ為のジャケットがスポーツジャケット。
長年英国紳士に愛されてきた。
ゲーム用のポケットや風を凌ぐための襟やライフルを乗せるための補強用パッチなど。
機能的でアウトドアに適したデザインとなっていて、その仕様は時代と共に変化している箇所もありますが、丈夫なツイード素材が多く使われています。
一口にスポーツジャケットといっても用途によって分けられ、
カントリースポーツに役立つディテールが施された「ノーフォークジャケット」
乗馬に特化した「ハッキングジャケット」
狩猟時に特化した「シューティングジャケット」
襟や袖裾のカフスが特徴の「サファリジャケット」など。
このようにシーンに合わせた機能的なデザインや起源を追っていくとさらにお洒落や着こなしが楽しくなる!
英国カントリージェントルマンに愛用されたツイードジャケット
日本にツイードが広まったのは大正時代のことで、柳宗悦が始めた民芸運動が発端となった。
友人の香港生まれのイギリス人バーナード・リーチから英国に生活のほとんどを田舎で暮らすカントリージェントルマンの存在を知る。
そしてそこで彼らが愛用しているツイードジャケットに興味を持ち、民芸運動の仲間たちに勧めたのである。
日本橋の丸善書店と交渉、ツイード地の輸入が始まり、ついにスリーピースのツイードスーツが出来上がった。
ハリスツイードなのかドネガルツイードなのかシェットランドツイード、どの生地だったのでしょうか。
ちなみに「民藝」とは柳らが職人の手から日常の生活用具と名付け「美は生活の中にある」とのこと。
手間暇かけた手仕事から工業化が進み近代化になっていく容易な流れを継承を鳴らし、民芸活動を通して伝え追求していったのです。
ツイードジャケットを愛した白洲次郎
実業家であり、米軍による占領時に憲法草案や平和条約交渉などに関わった白洲次郎をファッション面から見ていく。
「日本で最初にジーンズを履いた人物」として知られ、そして「マッカーサーを唯一叱った日本人」とも呼ばれている。
お洒落で生き方も素晴らしく「20世紀で1番カッコ良い男」なのだ。
ハリスツイードなどありますが、白洲次郎が亡くなるまで愛用したのがロンドンのサビルローの名店でオーダーしたツイードジャケットです。
「ツイードなんて、買ってすぐ着るものじゃないよ。3年くらい軒下に干したり雨ざらしにして、くたびれた頃着るんだよ」と語ったそうだ。
着れば着るほど趣深くなる、ツイードを愛した理由がコレなのではないでしょうか!
ダブルのツイードジャケットを仕立てる
バブル時代にダブダブが流行し「ダブル=バブル」というイメージが定着してしまい、1つの区切りとしてなのか、徐々に着る人がいなくなり、フェードアウトしていったダブルのスーツ。
フォーマルな場面でも、着心地感の窮屈さからか、敬遠されているような印象も感じられます。
タイトでショートなシングルスーツが主流となり、ダブルスーツを着る機会というのは少なくなりましたが、
近年、日本でダブルスーツが流行となる兆しがあるんですよ。。
そこで、トレンドとなっているカジュアルなツイードジャケットを、ドレッシー感やエレガント感のあるダブルで仕立て、流行を先取りしてみてはいかがだろうか。
ゆったり着るのがダブルジャケットですが、タイトでショート・スタイリッシュに着る傾向に合わせ、着丈を短く出来るのもオーダーならではの良さ。
ちなみに、海軍の制服や旅客機や鉄道などの交通機関の乗務員の制服は、ダブルのスーツが多く採用されています。
船の帆を操作する人を「リーファー」といい、ダブルジャケットは別名「リーファージャケット」と呼ばれているのです。
寒さや風と闘いながら運転しなければいけない人達にとって、ダブルジャケットは必需品だったのです。
欧州では高い地位の人達が好んで愛用し、あの英国王室のチャールズ皇太子も着用しています。
アメトラとツイードジャケット
カントリー色の強いツイード生地には、アメトラが良く合います。
アメトラの代名詞であるフックベントは、オーダーらしく一風変わっていて、ベントの上側をカギ型に縫製された形である。
「アメトラ」とはアメリカ全体を象徴するスタイルだと思いがちですが「アメリカ東部」に限定された伝統的な服装なんです。
アメリカは広いですから、地域によって自然条件だったり文化が違うので、当然流行りの服装なども違っていた。
アメトラの昔も今も変わらないスタイルが、長年愛されてきた証となっている。
昔の名残からか財政界や実業家などリーダー層に指示されていて、安倍首相もアメトラを身にまとっている所を度々見ますね
アメリカとツイードの繋がりは古く深い。
1919年~1939年の戦争中にツイードジャケットは、イギリス人が着用していました。
そしてアメリカに渡り、アイビーの発祥である名門私立大学のエリート学生達がツイードジャケットを着るようになりました。
ツイードジャケットはあっという間に認知され、アメリカを横切るように広まった事で、現在のような冬の定番生地となっていった。
ツイードジャケットのお手入れ
ツイードジャケットはあまり流行に左右されずに、長く着る事が出来ます。
お手入れをしっかりして長い期間を出来るだけ綺麗に着たいですよね。
ビジネススーツでもそうなのですが、針金など細いハンガーではなく、厚いハンガーの方がジャケットにとって良いですよね。
型崩れを防ぐ事が出来るので。
ウールやコットンよりも繊維が荒い為、繊維の間にホコリやゴミが入り込んでしまう事があります。
なので、着た後は洋服用のブラシで軽く叩くようにホコリ等を落とし、その後にブラッシングするのが良いでしょう。
そして湿気を取ってから収納、少しの手間心掛けでツイードのジャケットを長持ちさせましょう。
良く言われているのが、親子三代に渡って着る事が出来るツイードジャケット。
丁寧にお手入れすれば親子三代、更に四代まで受け継ぐ事が出来て、家族の物語が染みたツイードジャケットになるでしょう。
漁師の防寒着がお洒落アイテムとして、ここまで浸透するとは思わなかったでしょうね。
ツイードジャケットのヴィンテージ感と釦
ヨーロッパでは、ツイードジャケットを親子3代で受け継いでいく家庭もあるくらい、丈夫で根性のある生地です。
そういった長い年月を掛けて、雨風に晒され、自分の体に馴染んできた時にツイード本来の味が出てくるのです。
釦もツイードに合わせて自然と味が出てくるナット釦、革釦(バスケット釦)、本水牛釦など
こういった自然の物を使った釦を付けると年月が経った時、ジャケット全体に良いヴィンテージ感が生まれる。
カントリージャケットは年月が経てば経つほど味が出てくる、それがカントリージャケットの楽しみお洒落の1つでしょうか。
釦の役割は留める事なのですが、2000年前の古代ギリシャでは30個以上もフロントに付けられていたのです。
それは釦がアクセサリーと定義されていたからなんですね。
ちなみに11月22日は「ボタンの日」であり、明治3年に日本海軍の制服が決められ、その制服に釦が採用されたからだそうです。
防寒性UP・お洒落度UPツイードジャケットにチンストラップ
冬のお洒落防寒着のマストアイテムであるツイードジャケット、そのツイードの持つ防寒性は一度味わうとくせになる。
寒いイギリスのスコットランドで誕生したから当然と言えば当然なのだろうか。
さらに防寒出来て、お洒落感を出すデザインがあるのです。
それはチンストラップ。
これは1930年代のワークシャツに多く見られ、首部分にある帯やストラップの事を言いますね。
当時の生地は洗うと縮みやすかった為に釦の位置が変わってしまうので、サイズ調整の為に付けられたモノです。
1940年代には見られなくなる珍しいディテール・デザインなのです。
それが首元の防寒にも繋がるという事でジャケットにも応用されたのでしょう。
ハリスツイードで釦・裏地など付属類を工夫する
ツイードのような生地が厚地で、堅め、独特の風合いのある服地で仕立てたジャケットなどの場合には、それに合わせる釦、裏地などの付属類も、その存在感の強さに負けてしまわないように選びます。
多くのハリスツイードを含めたツイードジャケットで相性が良く、見ることが多いものはやはり、革素材を原料とした革釦で、釦の形が半円状に丸みを帯びバスケット状に編んだタイプのものと、プレーンな平たいタイプのもの。天然素材となる革釦の基本色は茶系および黒で、ジャケット生地の色によって濃い目の茶系釦とするのか、また明るめの茶系とするのかなど、迷うところです。。
秋冬シーズンに着用する本来防寒着的なハリスツイードのジャケット裏地は、これは迷うことなく前身、後身ともに裏地を付けていただく総裏仕立て。素材は一般に標準裏地とされているポリエステル、有料裏地となるキュプラ裏地や、古い昔には高級裏地の代名詞とされていたアルパカの裏地など付けてみるのも、ファッション上級者的なウンチクのひとつとして楽しみが増えてしまうかも知れません。アルパカは、アンデス山脈の高いところに生息している山羊の一種です。
寒いときなどに衿を立てて、というご着用方法はされないまでも、チラッと見せたいカラークロスを、エクセーヌや、革のほか、通常は専用の素材が付けられるのですが、ジャケットと同じ生地で作ったりということもぐっとコダワリのハリスツイードジャケットとしての愛着度が増してしまいそうです。