「ツイードジャケット」カテゴリーアーカイブ

レディースだってツイードジャケットを着る

女性の社会進出というのはもう当たり前で、男性と同じように仕事をする人が多く、学歴も高くそして婚期も遅くとなると、とうぜんメンズジャケットと同じ需要がレディース用のジャケットにもあり、それはハリスツイードやドネガルツイードなどツイードジャケットが選ばれる機会も多くなっています。
男性のショップ店員目線から言わせていただけば、メンズスーツのジャケット丈が短くなりヒップを露出度アップ、袖巾も狭くバストまわりもタイトになっていくら肉感的なフォルムを構築してくれても少しもうれしいことはなく、そんなことよりレディーススーツの着丈が短く、ヒップが露出する光景を目の当たりにすることこそ、つい口元がゆるむというのは誰もが持つ同様の感情ではないだろうか。しかもストレッチで体の線が見えてしまうほどなタイトなスーツは、本当にこれでいいのかと思ってしまいます。
これらはまったくの余談ですが、ジャケットがツイードという場合、レディースの場合にはこのボトムスに同じツイード素材を用い、ジャケット+スカートで仕立てるハリスツイードスーツというコーディネートがあることを忘れてはなりません。
品質が良く暖かく、クラシカルで仕立て上がりのイメージも良い、しかもお仕事用に使っていただいても厚地、ざっくり感があるためにあまりシワも目立たない服地は、秋冬レディース、キャリアスーツにはとてもおススメです。

ツイードジャケットのフロントデザイン

日本に大寒波というものが来ている今年の年明け早々。これだけ寒いとツイードジャケットも出来るだけ着丈を長く、またジャケットのみでなくパンツもこの暖かなツイード素材で仕立て、ベストも加えたスリーピーススーツで出勤なんて、とてもぜいたくな感じがしてしまいます。ここ数年のトレンドとなっている、タイトで着丈短めシルエットでジャケットを仕立てた人は、こう寒いと同じツイード価格なら、もう少し生地を贅沢に多めに、つまりジャケット着丈を長めに、また中にせめて薄手のセーターぐらいは着る余裕がある程度にゆったりめに作っておけば・・と、思う方もいらっしゃるかも知れませんね。
中にはロングジャケットという選択もありますが、そこまでいかなくとも気持ち着丈長め、衿型デザインをコートの衿型にあるバルカラーなどとし、釦位置を高めにする4釦などだと、ブイゾーンが狭く・釦位置が高くなるため、防寒目的を効果的に果たせます。フロントカットを開きめとするカッタウェイフロントが今の流れですが、腰まわり、太ももあたりまで暖かく過ごしたい場合には、コートにあるスクエアカット(ダブルジャケットと同じフロントカットが直角となるもの)というのも、デザインもオーダーアイテムらしく、暖かです。オーダージャケットなら前釦数を5個や6個とし、釦位置を上げると同時に釦間を狭めたり、フライフロント(比翼仕立て)などとして、寒気の衣服内流入を防ぐという方法も、仕立て方次第で実現できてしまいます。

ツイードジャケットが好きと言ってしまえ

あまりファッションに関心がなくなってしまったと言えば悲しいですが、次第に年を取り若い女の子からは見向きもされなくなり、いくら着飾っても決して見映えがすることがない世のおじさん連中には、これほど便利でしかもある程度のステイタスを維持することができ、しかもケアも楽、丈夫で長持ち、ドレスダウンにもタイドアップにも対応してくれる・・、こんな便利なアイテムがあるだろうかと思ってしまいます。
これが、ツイードでなくコーデュロイ、フラノ、ベルベット・・となると、どれも主に秋冬シーズンを中心に着用されるカジュアル素材ですが、ツイードほど便利に使い回しが効くか・・というと難しいです。
ツイードは高級服地であるし、しかもハリスツイードのジャケットやドネガルツイード、ホームスパンなどというと、そこはかとなくファッション通を気取ることができ、おじさんファッションには必須のアイビーとも相性が悪いことはなく、しかも色柄はオーソドックス。極端な話、防寒用にいつも同じツイードジャケットを着ていたところで、そう目立つものではないし、どうせ注目などされていないおじさんなので、許容範囲として許してくれるはず、しかも、そのおじさんのポイントがツイードジャケットによって上昇するとなれば、秋冬シーズン、おじさん的にはツイードジャケットを好きと言ってしまい、定番的ヘリンボーン柄、ガンクラブチェックの2着も持っていれば、あとはインナーと、デニムパンツ、コットンパンツのコーディネートでなんの心配もいらないカジュアルファッションを楽しめるというものです。

ツイードジャケットの裏仕立て

できるだけ暖かく着たいツイードジャケットの裏仕立ては、保温効果をもっとも期待できる総裏仕立てで作ることが多いです。ジャケットの内側の作り方には、いくつかの種類があり前述の総裏仕立てといわれるものは、ジャケットの前身頃・後ろ身頃ともすべてに裏地が付くというもので、衣服内の暖かさを保つとともに、胴裏地はできるだけすべりが良いポリエステル裏地やキュプラ裏地などで作られることから、全面に貼られるため、着心地を増すのにも役立ちます。
ハリスツイードジャケットやドネガルツイードなど、いわゆるヘビーツイードといわれる生地で仕立てる場合には、糸の太さもあり衣服内での摩擦も大きいことから、防寒目的+着用感をアップさせるためにも、総裏仕立てであることが多いですが、反面ハリスツイードといえども、できるだけ長い期間着用したい、中に着るアイテムなどで、寒暖の調整をするなどの場合には、胴裏地のうち、背部分の下3分の2程度を省いた背抜き仕立てというのも選択肢としてもちろんあります。
また、よりカジュアルに着こなし感から、ここ数年注目を集めているアンコン仕立てのジャケットとするときなどには、見返しを広くとる広見返し(大見返し)などの裏仕立てとして、軽さ重視のジャケットとする場合もあります。

ツイードランのはじまり

現在日本では自分が知る限り、ツイードラン東京、ツイードラン大阪、ツイードラン名古屋で開催されているこのイベントは、2009年にイギリスのロンドンで開催されたのがはじめだそうです。つい先日、このツイードランを主催するテッド・インヤン氏についての記事を見かけたのでご紹介します。
このテッド・インヤンさんがツイードランを企画し、現在も主催している人で、そのはじまりは氏がスコットランドのエジンバラで購入した古着のツイードパンツから。その昔、郊外に暮らす田舎貴族がハンティングに使っていたようながっしりとした作りで、いわゆるプラスフォワーズといわれるヒザ下4インチ程度のハーフパンツ。日本的名前でいえばニッカボッカ、ゴルフ用パンツといったもの。余談になりますが、昔の漫画に登場する土建屋の社長さんはなぜかこのニッカボッカをはいているのですが、それはお仕事柄運動性の高いボトムスを選ぶと、このアイテムになったのだろうかと、いま思った。
このクラシックなツイードパンツをどこに履いていこう・・、似合う場所を探したところから、その場所がなく、それなら自分で作ってしまおう。このツイードパンツでサイクリングなら、しっくりくる・・ということで、インターネットで呼びかけたことが今日のツイードランの原型になったもの。日本でも大都市が名乗りを上げているので、これからそれに続く地域で次々と開催されていくのだと思います。

ヘビーツイードとベビーフランネル

ここ数年の秋冬シーズンに好まれる服地の傾向を服飾用語で簡単に表わすと、このヘビーツイードとベビーフランネル。
ヘビーツイードは、重さも重く、ざっくりとした織り感が特徴的なハリスツイードジャケットドネガルツイードジャケットに代表されるような、本来お仕事着としての用途に用いられていたところ、その素朴な風合いが多くの人に好まれ、カジュアルアイテムとして広まっていったもの。ハリスツイードなどは漁師さんが寒い船上での仕事中の防寒着だったので、その暖かさは格別なもの。がっしりと頑丈で耐久性にもすぐれ、重いというところから、ヘビーツイードと呼ばれています。目付けは軽いものでも400g、重いものでは600gを超えるものも。
これと対照的なのが、ベビーフランネル。こちらはベビー(赤ちゃん)のような優しい肌触りをもつ、産毛のような生地の表面感を持つフランネル。フランネルは、一般に繊維の短い紡毛を用いて織られる服地で、この厚地の洋服地として用いられるものを特別にフラノと呼んでいますが、このベビーフランネルは、細糸で織られた梳毛フラノで、重さも軽く、Super100’sなどで起毛された毛羽立ち感は、とてもなめらか。生地感は薄手なため、カジュアルジャケットなどばかりでなく、ウォームビズな傾向からのお仕事向き服地としても多く用いられています。

ツイードジャケットに欲しいオプションは?

カジュアルジャケットに共通するのかも知れないですが、ツイードジャケットに合わせてみたいと思うオプションについて考えてみた。
普通に吊るしで購入するジャケットでも、生地の重量感から相性の良いのが革釦でしょうか。この革釦は色が黒からはじまってこげ茶、中茶、淡茶と色合いが薄くなる茶系の釦は、茶系の釦がグレー、紺、もちろん茶系の表地には良く合うことが知られています。
その昔は、紺系のスーツには茶系の靴は合わせないのがセオリーだったように、ネイビージャケットに茶系釦というのもタブーな感じもしますが、時代は変わるもので、当然ファッション感覚にも影響が出ています。これを同じ茶系でも本水牛釦とすると、革釦のもつカジュアル感から若干のドレッシーさが生まれますので、個人的にはこの本水牛釦もとても好きですね。
上衿そのものの形、デザインを変更してしまうという点では、衿タブ付きのノッチ衿というのも見逃せません。このラッチやスロートといわれる衿タブは、防寒用に付けられていたものが、装飾目的として残されたもので、上衿とつながった形のものや、切り替えで共生地、別布で付けられたものなど。別布でつける際には、ベルベットやエクセーヌなどひと工夫したデザインがオーダーで仕立てるツイードジャケットならではです。

ツイードラン名古屋

英国発のツイードランは、ハリスツイードやドネガルツイードなど、いわゆるざっくりとした紡毛織物であるツイードに身を包み、自転車で走るというイベント。自転車を用いるというエコで健康的な部分と、ツイードの高いファッション性に注目したファッションブランドが主催する毎年恒例のイベントです。
日本では過去には、東京、大阪で数年前から行われていたものが、今年は名古屋でツイードランが初開催。10月26日(土)に、100人ほどの参加者が、ツイードスーツに身を包み、自転車で走ったそうです。確かに自転車に乗ってツイード服を着て走るというのは、個人の年代的にはアガサクリスティーの推理小説の一場面のような気がして、好きですね。ステッキ、マント、くちひげ、シルクハットなど、あとお散歩でしょうか。
静岡では、この同じ時期、大道芸です・・。なんと品がないといいますか、これが東京、大阪、名古屋との文化の差というものなのでしょうか。
ツイードラン静岡が開催される日ははるか遠くなのかも知れないですね。
ただ、この参加者100名というのは、これだけ大きなスポンサーがついているイベントのわりには少人数のような・・。参加するためには、ツイード必須、しかも自転車もそこらのママチャリというわけにもいかず、費用もかかるため、高い広告効果のわりには、参加者不足が悩みの種というところかも知れません。

ハリスツイードのジャケットにオプション釦を合わせる

せっかく仕立てるツイードジャケットには、スーツに普通に付けられている練り釦では少々物足りないと思う方が多いためか、オプション釦を選ぶ方をよく見かけます。
ざっくり厚地の生地は重量感もあり、存在の薄い釦では負けてしまいます。個人的に一番良く合うと思うものが、革釦ですね。バスケット織りのように、革を編み込んだものや、プレーンなもの、色も黒、こげ茶から薄めの茶色など、革本来の色味を残したものが多いです。どちらも自然の風合いを濃く残すナチュラルな素材ということで、相性が良いのかも知れません。
革釦の厚みというのも、ハリスツイードやドネガルツイードなど、生地に厚みのあるジャケットとの相性の良さにつながります。あとは、本水牛釦でしょうか。この本水牛釦は、飴色のような色合いをしたもので、名前の通り、本水牛の角から作られた高級釦になります。この本水牛釦にも、色の濃い茶系から、薄いべっこう飴のような色のものまで。天然の水牛の角から作られた釦のため、同じ色柄がないというオリジナル感を楽しめるところも魅力のひとつです。
釦は、ジャケットのフロントに付けられる大きさが20ミリ、袖釦が15ミリと、ほぼ決まっているのですが、ハーフコートやコート用の釦などには30ミリを超える大きなものなど、装飾的なものもあるため、こだわりジャケットを作ってみたい方は、オーダースーツ屋さんに相談したり、服飾材料屋さんをのぞいてみるなどがおススメです。

1着目に選ぶツイードジャケット

年齢を重ねた今でこそ、オーダーアイテムのことについて多くを知識として蓄えることができているので、ツイードジャケットを1着めに選ぶとしたらなどという、難問にも簡単に答えることができる・・、いや逆にツイードなどの服地、ジャケットのシルエット、現在手持ちのボトムスとの相性や季節感など、種種雑多などうでも良い雑学までもが邪魔してしまい、悩みの多いことかも知れない。
あえて、現在のツイードジャケットを1着目という自問自答に答えるとするなら、やはりハリスツイードジャケットアイリッシュツイードジャケットでも定番といえる、ヘリンボーン柄。目付けはあまりヘビーウエイトのものは今時の暖かな気候から避けたいところ。ハリスツイードなら400グラム若しくは480グラムというところだから、軽めの400グラムを選びたい。ヘリンボーンは決まっているので、次に地色だが、ネイビーよりもグレー系のほうがらしいツイードジャケットとなる。チャコールグレー、ライトグレーよりも無難なミディアムグレーを選ぶのが、1着めのツイードジャケットという課題最大の宿命と言えるかもしれない。
仮に、若かりしころなら、なんの躊躇もなく、店頭にならぶプレタジャケット、若しくは生地群の中から、一番目立つ生地。自分に似合う、似合わないはまったく関係なく・・というセレクトなのかも知れない。